Lucky Soulの『A Coming Of Age』でAli Howardの方向性を考える

ガールズポップ強化週間としてLucky Soul『A Coming Of Age』をご紹介。
張り切ってガールズポップと書いたもののLucky Soulは一概にガールズポップとも言えない部分もあって、メンバーは紅一点Ali Howard以外は男性で、バンド構成はどちらかといえばBlondieの様な感じ。ファーストアルバム『The Great Unwanted』『恋はゴージャスに』という邦題を付けられて、ジャケットが猫に変更され、何故か森泉がイメージキャラクターに採用されるという不可解なプロモーションの結果、日本では中途半端な感じになってしまったLucky Soulだけに、セカンドアルバム以降が心配されたのですが、無事にアルバムを仕上げてきました。
Ali Howardのボーカルに対して、ガールズポップというジャンルで縛られるより、もっと様々なタイプの楽曲で映えるのではないかと感じていただけに、今作『A Coming Of Age』Lucky Soulが無理なく自然なサウンドの進化を遂げていた事は個人的は歓迎出来る事でした。例えば『A Coming Of Age』には「Woah Billy!」「Up In Flamesの様に、Lucky Soulらしい瑞々しくポップな楽曲もあれば、「White Russian Doll」「Love 3」の様に前作以上に深くモータウンサウンドを取り入れた佳曲もあります。カントリーっぽさのある牧歌的な「Upon Hilly Fields」The Banglesを思わせるメロディのバラードの「Could It Be I Don't Belong Anywhere」など、普遍的なポップミュージックと向き合ったような楽曲も映え、音楽の裾野が広がる事でLucky Soulがサヴァイブしていく可能性を感じられる作品に仕上がっている事が、『A Coming Of Age』Lucky Soulが見せた大きな成長だと思います。
Ali Howardのビジュアルに目を奪われがちになるLucky Soulだけに彼女をもっと活かしていく必要はあるのですが、楽曲を手掛けているのはメンバーのAndrew Laidlawで、プロデュースやストリングスのアレンジまで手掛けているところから見ても、Lucky Soulは彼のバンドと言っても過言ではないでしょうし、ソングライティングの面での新たな展開をAndrew Laidlawが切り開いていけるのであれば、次の作品も大いに期待が出来ると思います。個人的には文中に出てきたBlondieBanglesが残した様な普遍的ポップミュージックを作りだす事が出来ればAli Howardの存在感を更に際立たせる事も出来ると思うので、その辺を楽しみにしたいと思っています。

A Coming of Age

A Coming of Age