The Bluetonesの『A New Athens』に収録された7曲目

という事でちょっと遅くなりましたがThe Bluetones『A New Athens』を聞き込めたのでご紹介したいと思います。
Bluetonesは1995年にデビューを果し、ブリットポップ最盛期の狂騒を経ながら現在も地道で信頼の置ける音楽活動を続けている、数少ない良質なUKのギターロックバンドです。今作『A New Athens』は通算6枚目のアルバムで、個人的にも待望のアルバムだったのですが、期待を裏切らない作品に仕上がっていました。
4枚目のアルバムに当たる『Luxembourg』はビートやグルーブ感を強めた作品で、対を成すようにギターポップ的なサウンドやメロディに重点を置いた作品に仕上がったのが前作『The Bluetones』。セルフタイトルだった事からも分かる通り、『The Bluetones』は新たなBluetonesの名刺代わりの作品であると共に、UKギターロックバンドとしての集大成な一枚だったのに比べ、『A New Athens』はそこからさらに新境地も取り入れた意欲的な作品に仕上がっているといえます。
『A New Athens』以前ご紹介した記事に書いたボーナストラックからも予想された通り、全体的に打ち込みのサウンドやメランコリックな楽曲が増えてはいるものの、楽曲のバラエティに富んでおり、Bluetonesの作品にしては統一感は薄めですが、その分、今までに発表してきたBluetonesの作品の様々な魅力が散りばめられているのが特徴的で、前作から更なる進化を遂げているのが素晴らしいです。新鮮味を保ちながらも円熟味を感じるサウンドには感心するばかりだし、何よりも「Carry Me Home」という大名曲が『A New Athens』には収録されており、ここにきてバンドの代表曲になり得るアンセムを作り上げてくるその枯れなさには感服せざるを得ません。
余談ですがBluetonesといえばアルバムの7曲目に名曲が収録されるという「7曲目ルール」がある事がファンの間で有名ですが、今作『A New Athens』の7曲目は「The Day That Never Was」という楽曲。8曲目が「Carry Me Home」である以上、露払い的な印象も残りますが、「The Day That Never Was」『A New Athens』サウンドを象徴する様なメランコリックでスケール感のある楽曲で、今までシングル化されてきたアルバムの各7曲目の様な強烈なフックを持った楽曲とは趣は違います。しかしその事が、逆に8曲目に「Carry Me Home」がある事を浮き立たせている様で、そこにBluetonesの意図が見え隠れしている様に思うのは考えすぎでしょうか。
デジタル化によって軽視されつつあるアートワーク関連も充実していて、確固たる世界観を構築。この辺にもバンドの誠実さを感じます。

New Athens

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