The New Pornographersが『Together』でトゥゲザーした要素

The New Pornographersの新作『Together』がやっぱり素晴らしかったのでご紹介。
The New Pornographersといえば、メンバーそれぞれがソロアーティストや他のグループとしても活動していますので、スーパーグループ的な見方をされますがその活動自体は実に堅実で、通算5枚目になる今作『Together』まで定期的に良質なアルバムを届けてくれています。
前作『Challengers』に比べるとより開放的でポップな路線に進んでいる印象を受けるのは、ストリングスアレンジが今まで以上に前面に出て来ていることが大きくて、これはA.C. Newman名義でソロ活動しているCarl Newmanの貢献度が高いのは間違いないと思います。パワーポップ的なサウンドアプローチが激減し、全体を通せばドリーミーなサウンド『Together』は仕上がっているのですが、メロディ自体はパワーポップ的なアプローチでサウンドには力強さがあるので、ドリーミーなサウンドとはいえ、所謂Brian Wilsonチルドレンなアーティストとはひと味違う様なサウンドに仕上がっています。
思えば昨年発売されたA.C. Newman『Get Guilty』もストリングスが強調されたアルバムだった訳で、その辺からハッキリと『Together』への流れは出来ていたのだと思います。そして、A.C. Newmanに限らずメンバーの個々の近年の活動が集約されて良い方向に働いていたのが『Together』の特徴だといえ、例えば、Neko Caseの活き活きとしたボーカルと混声となるコーワスワーク、そしてCarl NewmanだけでなくDan Bejarの手掛けた楽曲のクオリティの高さも特筆する点だと思います。
また、今作『Together』にもその豊富な人脈を活かして、BeirutSt. VincentWill SheffOkkervil River)、Sharon Jones & The Dap-Kingsなどの多くのゲストが迎えられており、カラフルに仕上がったアルバムの一端を担っていると思います。この様に様々な要素が上手く結びついている事で、アルバムを成功に導けている『Together』という作品はまさにトゥゲザーな作品だと思いますし、今まで以上の多くのリスナーに届く可能性を秘めています。
相変わらずジャケはイケているのかいないのか微妙なもの(いや、やっぱりイケてはないか)ですが、内容はThe New Pornographersの最高傑作といっても過言ではなく、全米チャートで18位という自身のチャート最高位を叩き出しているのも納得。

Together

Together

メンバーのBlaine Thurierは映画監督の様で、当然このPVも彼が手掛けています。テンポ良い楽しげなPVですが、モチーフは使い古された感があるのでチョッピリ残念。