Jamesの新作EP『The Night Before』がターニングポイントになっている理由

2008年に再結成アルバムである傑作『Hey Ma』を届けてくれたマンチェスターJamesから新作EP『The Night Before』が到着したのでご紹介。今作『The Night Before』は8月に発売される予定の『The Morning After』EPと対を成すEP。そのタイトルからも分かる通り、2枚で一組の様な1枚なのですが、EPとはいえ充実した内容に仕上がっています。
冒頭の「It's Hot」からいきなり打ち込みのサウンド全開で意表をつかれますが、メロディはいつものJames節でいきなりの名曲。その後も全体的に今までのJamesサウンドに見られた緩やかなエレクトロ色が若干ハードになっており、ポジティブで力強い印象を受けます。ライナーを見る限り、強いメッセージ性はそのままで、Tim Boothのボーカルも力強く、前作が新生Jamesの名刺代わりの1枚だとすれば、今作はそこから一歩踏み込んだJamesの誕生を予感させる1枚になっています。ジャケットからしても新生Jamesを象徴する様な生命の誕生を感じさせるものでもあり、思えば前作『Hey Ma』のジャケットが赤ちゃんだったわけで、更にその起源というか、ルーツを辿った作品という見方も出来ますし、EPとはいえこの1枚はJamesのキャリアの中でも、重要なターニングポイントになっていると思います。また、プロデュースは前作から引き続きLee Muddy Bakerとの共同プロデュースで、すっかり板についてきたコンビネーションの良さを聞かせてくれています。
James『The Night Before』を繰り返し聞いているとThe Muffs' Fanpage In Japanぴかおさんも指摘している通り、作家性を保てるEPという形態が今後は増えてくる可能性は高いのかなとやはり感じます。それだけJames『The Night Before』はEPでありながらもアルバムのボリュームやクオリティと遜色のないサウンドをコンパクトに聞かせてくれていますし、良質なバンドはやはり作品の提供のスタイルも良心的なものになっていくのだなと感じさせてくれます。
それにしても同じ様にEPでの作品発表の形態を取っているWheatusの新作EPは前作に引き続き発表がずれ込んでいる模様。全くじらしてくれるぜ。

Night Before Ep

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