そろそろrockin'onとサヨナラする季節が来たのかもしれない

rockin'onが薄くなった。
2009年のoasisが表紙の12月号からだ。正確にいえば2009年の冒頭も薄かった。夏から秋にかけて特集が続いた事もあってページ数が増えたものの12月号でまた一気に減った。特に告知も無かったと思うし、また戻るのかなと思い2010年1月号、2010年2月号も買ってみたがやっぱり薄い。具体的にいえば最終ページのナンバリングが2009年の12月号と1月号が215ページ(その裏面は広告、次ページが背表紙)2月号は年間ベストにページ数を割いているにも関わらず207ページ(2009年度の2月号も年間ベストで207ページで、価格が特別価格の680円!2008の2月号は年間ベストで231ページ、600円也)。
ちなみに2009年の10月号が263ページで11月号が255ページ。263(10月)→255(11月)→215(12月)→215(1月)→207(2月)と減ってきているので、来月は流石にページ数は増えると思いますが、ページ削減はイレギュラーな事では無く規定路線で、今後も大きな特集がない時は210ページ程度に落ち着く可能性も高い。まあ50ページは減ってきているわけだから、手に持った時に違和感を感じるくらいハッキリと薄いわけで、気付いた人も多いのではないかと思う。自分がrockin'onを最も熱心に読んでいたのは恐らく増井修氏が編集長の頃で、近年は惰性で購入するもののほとんど流し見で、来日情報などの資料として活用する程度の存在になっていたのだけど、今回の件で流石にちょっと引いた。いつの間にかに価格が650円に値上げされ、多様化によって取り上げるべきアーティストが増え続けているこの時代において、紹介すべきページが足りなくて仕方ないはずなのにページ数が減る。もちろん、これはrockin'on側も重々承知している事で、大幅な値上げの理由に関しては100円の値上げが断行された2008年8月号の誌面上で粉川しの氏はこう記しています。

ロッキング・オンは今月から値上げをしました。新価格は650円です。読者の皆さんには毎月100円の負担増をお願いすることになります。心苦しいですが、なにとぞご理解いただければと思います。実は数年前に紙代の値上げがあった際に、値上げを考えました。しかし、思いとどまりました。その他経費を無理矢理抑えることでなんとか値上げを回避しました。一時はヴォリュームを減らすことも考えました。
〜中略〜
そしてそんなグルーヴを正しく伝え、言葉にしていくには、どうしても今のヴォリュームが必要ですし、足りないぐらいなのです。

この文章を読んだ時点で違和感は確かにあったのですが、今後、誌面をリニューアルしていくので楽しみにして欲しいといった旨の記述もあり、最低でも一年は様子を見ようかなと思ったのを記憶しています。
近号の表紙を見てみると、12月号の表紙がoasis、1月がNirvana、2月がBeatles(何故このタイミングで・・・)。焼き増しの様な企画とインタビュー、海外の雑誌の記事の翻訳、新たなアーティストよりも無難で変わり映えの無いバンドやアーティストが表紙になり繰り返し特集される。近年のrockin'onはその傾向が顕著だったのは読者の誰もが知るところで、完全にフェス屋さんに移行しているのも誰もが知るところ(そして雑誌単体では立ち行かない経営状態になりつつある事も)。個人的にはそれを否定する気は無いし、それで売上が伸びるのであれば、経営的判断としては理解が出来る。新しいフェスもドンドンやって頂きたい。だけど、増井氏が編集長の頃は冊子の値段が数十円上がるだけで、大層な釈明文と意気込みを誌面に掲載していたのを記憶しているし、1990年の1月号では380円だった価格がジワジワと値段が上がってきたのを知っている自分にとって、ここ1年半位で一気に価格が上がった流れは大きい(ちなみに我が家にある1987年のrockin'on320円なので、現在では倍の価格になっている)。
別に価格を値上げするのは構わないし、それに見合った内容であれば対価を支払う。もちろん、ページ数が少なくなったとしても内容が価格に見合うものであれば問題ないし、むしろ、ページ数が減る事自体よりも、価格に内容が伴わない事の方が大きな問題だと思う。今回の様な改悪が続く事を見過ごせる様な時代でもないし、そんなに消費者も馬鹿では無くて、見る目はよりシビアになっていると思う。
ちなみに2005年の11月号を見直してみるとページ数は263ページで550円。1995年11月号が223ページで500円。1994年の11月号が215ページで480円
ページ単価でいえば
2010年1月号が約3円
2009年の10〜11月号が約2.5円
2005年11月号が約2.1円
1995年11月号が約2.2円
1994年11月号が約2.2円

つまり、ここ15年程は少しずつ値上げしながらも、ある程度のページ単価を保っていたのが、650円に値上げした時点でページ単価が上がる事になり、その価格のままページが減ると決定的に大きく単価が上がるというわけです。もちろん、広告のページ数までカウントしていないので、近年は広告が一気に減って記事ページは増えているのですよという事であれば、純粋なページ単価自体は下がっている事になるので、あくまでも目安程度。別にだからどうこうして頂きたいという訳ではないのですが、「薄い」というキーワードに敏感な自分がこれだけ薄いを連発する程、薄さを感じたので調べてみましたよというだけのお話。だけど、こうやってまた、ひとつ文化や時代が終わるのではないのかなとは思う次第です。