Amy Millanの『Masters of the Burial』をクリスマスにお薦めする

Amy Millanのセカンドソロアルバム『Masters of the Burial』がこの季節にピッタリの内容だったのでご紹介。2006年に発売されたデビューアルバムHoney From the Tombs』StarsBroken Social SceneのメンバーでもあるAmy Millanが順調なソロキャリアを切り開いた良作だったので、個人的にはセカンドアルバムも期待していたのですが、『Masters of the Burial』が発売されるまでに若干リリースの間隔が開いた為、残念な事に一般的な注目度はあまり高まらないまま発売されたように思います。
しかしながら、その内容は前作Honey From the Tombs』を深化させた様な落ち着きのある作品で、完全にソロアーティストとしての貫禄が備わった作品に仕上がっています。全体を通せば前作に引き続きフォーク・カントリーテイストのサウンドなのですが、より深く沈み込むような凄みがあり、Amy Millanが敬愛するTom Waitsの世界観に近づいている印象を受けます。面白いのは『Masters of the Burial』にはカバー曲が4曲も収録されている事で、しかも比較的近年のアーティストの楽曲をカバーしているのに意表を付かれました。Amy Millanと親交の深いWeeping TileJenny Whiteley(今作にはゲストで参加)のカバーはともかく、Richard HawleyLongpigsの元メンバーでPulpに在籍した事もある)のカバーである「Run for Me」は、意外性がある選曲(そして良い曲)。これらの三曲は自分が原曲を知らなかった事もあって、オリジナルの様にアルバムに違和感無く収まっているのですが、Death Cab for Cutie「I Will Follow You into the Dark」のカバーには驚かされました。原曲に対してのなかなか良い曲だなという印象が、このカバーを聞く事で一気に惚れ直す結果に。Amy Millanの清涼感がありながらも艶やかなボーカルに乗る事で、普遍的なメロディがより一層際立つ仕上がりで、アルバムの中でも輝きを放っています。
アルバムにはStarsEvan CranleyDan and Jenny Whiteley、Feist、Liam O’NeilThe Stills)などカナダのミュージックシーンの強い結束力が窺い知れる面々がゲストで参加。プロデューサーもBroken Social SceneMartin Davis Kinackという事で気が置けないメンバーで作成された『Masters of the Burial』が、非常にシリアスな雰囲気とリラックスした様な暖かな雰囲気の両方を持ち合わせているのも分かるような気がします。
アナログでも欲しくなる象ジャケ。国内盤の発売を望みます。

Masters of the Burial

Masters of the Burial