The Raveonettesの『In and Out of Control』で鳴る甘美なサウンド
The Raveonettesの4作目『In and Out of Control』が甘かったのでご紹介。
前作『Lust Lust Lust』がダークな作品ながらも、統一感のあるシューゲイザーアルバムに仕上がっていて、個人的には評価がグッと上がったバンドだったのですが、今作『In and Out of Control』では一転甘めのスウィートなポップアルバムになっており、これはこれで良い仕上がりだと思います。
冒頭の「Bang!」から甘美なメロディがすこぶるポップで、シューゲイザーは控えめのガールズ・ポップといった趣。その後の楽曲もメロディがサウンドと不協和音を起こさない絶妙のバランスで鳴っており、Raveonettesのサウンドを保ちながらも純度の高いメロディを持った楽曲が続きます。「Bang!」の他にポップ度が強いのは「Last Dance」、「Boys Who Rape (Should All Be Destroyed)」(歌詞とサウンドのギャップが物凄い)、「Suicide」(リミックスで映えそうな楽曲)の三曲ですが、爆音ギターのシューゲイザーサウンドが炸裂している「Break Up Girls!」も収録されており、Raveonettes流のシューゲイザーサウンドに魅力を感じている人の為への振り幅も用意されています。
『In and Out of Control』は60年代のウォール・オブ・サウンドから甘美なサウンドの雰囲気を上手く抽出出来ていると思いますし、Raveonettesの致命的な欠点であったメロディの弱さ(厳密にいえば曲によりバラツキがあった)が改善された事で、ボーカルのSharin Fooの相変わらず甘ったるいボーカルも水を得た魚のように冴えてきており、結果として『In and Out of Control』はRaveonettesの作品史上で最も出来の良い作品に仕上がっています。これはアメリカから母国デンマークに戻り作品にじっくりと取り組んだ成果(とはいっても彼らは二年毎にシッカリとアルバムを発表しているので、リリース間隔自体は変わっておらず、期間ではなく環境や精神的なものが大きいと思う)ではないかと思うし、彼らが今後も勝負出来るサウンドとしての完成度が高まったのではないかと思います。
ちなみにプロデュースはThomas Troelsonで、Melody ClubやJunior Seniorなどの甘めのダンスサウンドを手掛けたその手腕が生かされていますし、ソングライティング面での共作も多く、『In and Out of Control』での貢献度はかなり高いといえると思います。
前作『Lust Lust Lust』のシューゲイザーサウンドと、今作『In and Out of Control』の甘美なメロディを持ってしてRaveonettesサウンドは理想とするサウンドに一気に近づいたと思いますので、興味のある方は両方聞いていただければと。
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