Lady Sovereignの『Jigsaw』で嵌らなかったピース
書きそびれていたLady Sovereignの『Jigsaw』のレビューでも書いてみる。
Lady Sovereignのセカンドアルバムになる『Jigsaw』はデビューアルバム『Public Warning』に比べるとかなりカラフルでポップになった印象。『Public Warning』がJay-Zに見初められてDef Jamから発売された事もあって、オールドスクールを貴重としたアルバムだったと思うのですが、今回はDef Jamからではなく(Jay-ZがDef Jamから離脱した事が少なからず関係しているかもですが)、自身が立ち上げたレーベル「Midget」(その名もちびっ子というのが彼女らしい)からの作品で、より自由度の高まった作品になっています。端的にいえばエレクトロポップな印象が強まったといえるのですが、この部分は『Public Warning』が持っていたブリブリと力強い魅力とは異なる印象なので是非があるとは思います。個人的にはイギリスでの売れ線を狙いすぎたかなと思ったのですが、Lady Sovereignのラップと歌(特に今作は歌メロが強まった)はより魅力的になっているし、「So Human」 (The Cureファンには堪らない「Close to Me」を下敷きにした新境地)や「I Got You Dancing」の様にシングル向きの楽曲を生み出せたのは、非常に喜ばしい事だと思います。
とまあここまで書いてお気付きの方も多いと思うのですが、昨日レビューしたCalvin HarrisとLady Sovereignには意外と共通点があるという主張が滲んでいるわけであります。
まず大きいのは、Calvin HarrisとLady Sovereignともにセカンドアルバムで方向性を転換したにも関わらず、歌ものとしても通用する曲が増えて大衆性を得た事。Calvin Harrisがデビューアルバムで、どちらかといえばエレクトロポップな作品を作ってて、Lady Sovereignは逆にセカンドアルバム『Jigsaw』でその路線を打ち出してきているのも興味深い。また、自己プロデュースに長け、ゲストに頼らない自身のボーカルやラップを中心に持ってきている事も大きくて、より等身大の歌詞を自身が伝える事で人々の共感を呼べるアーティストに成長していると思います。あと、どちらも国内盤のボーナストラックにはTaku Takahashi(m-flo)によるリミックスが収録されているのも共通点といえば共通点。
まあ、Lady Sovereignの『Jigsaw』には足りないピースがあると思いますし、アルバムの完成度からいえば『Ready for the Weekend』に軍配が上がるのですが、一気に上り詰めた感のあるCalvin Harrisとドロップアウトしながらもその根性というか、ハートの強さを見せ付けたLady Sovereignの両者共に次作がキャリアの上で一番大事な作品になるという点も共通するのではないかと思います。
下世話な話だけど、オタクのCalvin Harrisと肉食系のLady Sovereignが付き合ったら、きっと上手くいくだろうなと思ったり。まあその辺ゴシップ的な邪推は置いといても、この二人の組合せで音楽が生まれたらと思うとワクワクするのは、きっと自分だけではないはず。
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- 発売日: 2009/08/26
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