The Drumsのミニアルバム『Summertime!』で過ぎ去った夏を思い出してみる

夏はとっくに過ぎ去りましたがThe Drums『Summertime!』をご紹介。Drumsのミニアルバム『Summertime!』は「もしもし」レーベルからの発売で、久しぶりに「もしもし」レーベルの名前を聞いた様な気がします。Bloc Partyとかも元々は「もしもし」から音源出てましたよね、確か。
という事でDrumsなんですが、Girlsに引き続き検索し難いバンド名という事で、各方面からブーイングが出ているとか何とか。この『Summertime!』はそのタイトル通りの夏色の強いミニアルバムで7曲入りなのですが、ミニアルバムとはいえそのポテンシャルは十分に発揮されていると思いますし、話題になっているのも分かる気がします。
DrumsサウンドはUKロック色とギターポップ色が強くキラキラしたサウンドなのですが、実はアメリカのバンドで、Girlsなんかと同じでちょっと意外性があります。ピコピコと脱力系の打ち込みが耳に残り80年代色も強いのですが、その徹底的に薄っぺらいサウンドがインディーズに有りがちな枠に収まっていないのは、飛び抜けた疾走感を持っている事と良質なギターポップバンドが書きそうなメロディが乗っかってきている事が大きくて、その事がDrums独特の音楽として評価されているのだと思います。歌詞もひたすらチープな感じで、シングルになっているポップチューン「Let's Go Surfing」なんて「サーフィン行きたいぜ!ママ」ってな具合ですし、サマーバンドを逆手に取った様なシンプルな歌詞が並んでいます。この歌詞がシンプルな構成でサビ勝負の楽曲と、恐ろしい程の相性の良さを発揮しています。これをシニカルだとかクールだと感じるのか、それとも純粋なポップネスと取るかは聞き手次第ですが、意外にDrumsは純粋にポップミュージックを追求していると考えた方が素直に楽しい様な気もします(まあ、ドラムがスカスカなのにDrumsの時点で狙いすぎている感もあるのですが)。
Drumsサウンドは、そのインディーズ然とした佇まいとは裏腹に、ギターポップネオアコリスナーはもちろん、80年代のシンセなサウンド(スッカスカなNew Orderギターポップをやっている様に聞こえなくも無い)を好む人 、UKロックファン、サーフロック好きと意外に幅広い人達に受け入れられるサウンドになっていますし、全体を通せばスウェディッシュポップの匂いもして、その辺の音楽を好む人にも十分な求心力があると思います。
この底抜けに明るいサウンドの本質とバンドの正体を見極めるにはフルアルバムの到着を待たないといけないと思うのですが、その秘めたるポップネスが爆発している事を期待しながら、冬になっても『Summertime!』を楽しみたいと思います。

Summertime!

Summertime!