Sherwoodの『Qu』がクリアサウンドに仕上がった理由

全然前知識が無かったのですが、珍しくジャケと視聴で購入したSherwood『Qu』をご紹介です。
Sherwoodは2002年に結成されたアメリカのポップ・ロックバンドで、アルバム『Qu』がサードアルバムという事になります。透明度の高いボーカルとそのサウンドの傾向からは一緒にツアーした経験もあるMae(先日ご紹介したRelient Kともツアーしてたようですね)に近い印象を受けました。Sherwood自体はバンドの演奏面よりもメロディやコーラスワークに見るべきものがあるバンドで、いきなりボーカルのみのアカペラトラックである「Shelter」でアルバムの幕が上がるところからも分かるように、本人達もその事に自覚的であると思われます。アルバムは冒頭から「Maybe This Time」、「Hit the Bottom」とポップな曲が並び、その後もモーグやキーボードに加えて打ち込みの要素を効果的に導入し、コーラスワークを活かした楽曲が続きます。その中でもMolly Jenson(好みの声質!)をゲストに迎え、デュエットに近い形でボーカルが重なりあうシンプルでアコースティックな「Worn」は、異色を放ちながらもSherwoodのメロディセンスの良さが際立っています。この楽曲が若干綺麗にまとまりすぎたてらいのあるこのアルバムの中でアクセントになっており、バンドが志すべきサウンドと可能性を感じさせているのは大きな収穫といえると思います。
今作『Qu』はキャリアのあるプロデューサーBrad Woodが務めており、このプロデュースは良い形ではまっている様に思います。Ben Leeのアルバム(最新作『Rebirth Of Venus』も彼がプロデュース)を多数手掛けているのを始め、Liz PhairPete Yornの作品、Smashing Pumpkins『Adore』That Dog『Retreat From The Sun』などのプロデュースをBrad Woodは手掛けており、基本的にポップなメロディを持つ楽曲のサウンドの方向性を導き出す能力に長けた人物であることが分かります。中でもSmashing Pumpkinsのキャリアの中で最も透明感のある作品『Adore』を手掛けた経験は、Sherwoodの持つ最大の特徴を引き出す事に活かされていると思うし、『Qu』というアルバムがこれ程聞きやすいアルバムに仕上がったのは、やはりBrad Woodの貢献度が高いのではないかと思います。
ちなみにSherwood『Qu』MySpace Recordsから発売されており、MySpaceの事業戦略を垣間見る事が出来ます(個人的にはMySpaceのレーベル事業は賛同しかねる部分もあるのですが)。とはいえ、Sherwoodはエモやポップ・ロックのシーンでは異端児だろうし、その意味でも新しいタイプのバンドともいえるので、MySpace Recordsとの相性も良さそうですし、レーベルの形態や販売方法を含めて様々な可能性を秘めたバンドという事になると思います。

Qu

Qu

当たり前だけどMySpaceのページが充実している。

http://www.myspace.com/sherwood