Jetが『Shaka Rock』で産み落とした新たなアンセム

という事でBeatlesのリマスター盤のレビューがあって後回しになっていたJet『Shaka Rock』のレビューでも書いてみたいと思います。
聞いてみてまず思ったのは「やったなJet」という事。何がやったかというと、まず「She's a Genius」という新たなアンセムになる楽曲が収録されているという事。これが非常に大きいと思いますし、「Are You Gonna Be My Girl」の大ヒットのせいで出来てしまった乗り越えないといけない壁を、今作『Shaka Rock』は乗り越えられていると思います。前作『Shine On』は全体を通して若干饒舌になり過ぎた印象だったのですが、今作『Shaka Rock』は楽曲がスッキリとまとまっている点が好感を持てますしSeventeenから「La Di Da」というポップな楽曲の流れが新境地ともいえ、ハードなサウンドとバラードの両極端になっていないのが大きな進歩だと思います。正直なところコテコテで時代感覚が掴めないジャケットとアルバムタイトルを見た時は不安で仕方なかったのですが、その不安を吹き飛ばすかの様に『Shaka Rock』サウンドJetが次のステップに進めた事を証明してくれていると思います。
あと全然アルバムレビューの本筋から外れますが、Jetを聞いているといつも思い浮かぶのが90年代後半に活躍したReefというバンド(メンバーのGary StringerJack BessantThem Is Meという新バンドで活動中。Them Is Meも相変わらずの時代錯誤っぷりでアルバムもかなり渋かった)。そのボーカルのスタイルとサウンドの泥臭さがReefに近いし、何よりもそのねちっこい言語感覚は相似していると思います(「Goodbye Hollywood」とか聞いてると頬が緩むぜ)。Reefは4枚目で『Getaway』という傑作を作り上げていますし、Jetもきっと次の作品辺りでポップとブルーズが混じりあった最高傑作を作り上げるような気がしています。『Shaka Rock』はそんな予感を持たせてくれた充実作だし、今後もオージーロックを盛り上げられる存在であって頂きたいものです。

Shaka Rock

Shaka Rock

Reefが一番ポップに接近した傑作『Getaway』
Getaway

Getaway

どさくさにまぎれてThem Is Meも紹介しておく。