Puffyの新作『Bring it!』は例の如くの作品

Puffyの新作『Bring it!』は例の如く、豪華アーティストが参加したアルバムになっていたのでご紹介。
参加しているのが、Butch Walker and Avril Lavigne、Anders Hellgren & David Myhr(Merrymakers)、Roger Joseph Manning Jr.(ex. Jellyfish)の海外のギターポップパワーポップ周辺の人脈と、日本人では椎名林檎山中さわお(the pillows)、斉藤和義斎藤有太志村正彦(フジファブリック)が参加という事で悪い内容になるわけはありません。フジファブリックのレビューでも書いたのですが、作詞Puffy、作曲Merrymakersでシングルにもなった「マイストーリー」が飛び抜けて良い。結論から言えば総じて作家陣は良い仕事をしていると思います。ただし、全13曲中5曲は既発の音源ですので、新たな発見は少なくあくまでもシングルの世界観の延長線上にあると思います。海外勢の他に耳に残るのはやはりフジファブリック志村正彦の楽曲で、楽曲提供の作家という形での新たな可能性を見出しているように思います(あと山中さわお作の「Twilight Shooting Star!」「天井裏から愛を込めて」だな〜)。基本的に『Bring it!』にはロックテイストの楽曲が多く収録され、前作『honeycreeper』にあった取り散らかったバラエティ感は薄めでアルバムの統一感が若干上がっています。それでも楽曲の寄せ集め感というかベスト盤を聞いているかの様な錯覚に陥りますので、その辺がアルバムの世界観という点で一体感が薄い部分は惜しまれるのですが、現状のPuffyはシングルのフォーマットを重視している感がハッキリありますので、埋めていくのは難しい部分ではあります。ボーナストラックとはいえ、このアルバムの中では最も浮いているドラマ婚カツ!の主題歌でもある「ウェディング・ベル」も収録されており、お得感はあるもののその辺にもこのアルバムの立ち位置が浮かび上がっています。
『Splurge』、『honeycreeper』、『Bring it!』と同じ路線というか一人のプロデューサーに委ねずに多数の作家陣を招く形でのアルバムが続いていて、正直この路線はこの辺りで終了しても良いかなと思います。過去の作品を顧みてもPuffyには作詞する能力は十分に備わっていますし、楽曲の提供だけでも十分にアルバムは成立するはずですので、ぜひ検討していただきたいところ。個人的にはAndy Sturmerがプロデュースしていた『Nice.』あたり(しかも輸入盤のバージョンで)のイメージで作品としてのアルバムを作り上げる事が望まれます。
決して歌唱力のレベルが高いといえない二人がユニゾンのユニットとして地位を確立したのを見ていると、Perfumeが最終的に目指すべき地点はPuffyなのではないかと思ったり、逆にPuffyは現在のPerfumeの様に(中田ヤスタカの様な一人のプロデューサーを迎えて)コンセプトを絞り込んで作品作りに回帰するのが面白いと思います。そんな妄想で今回のレビューは終了。

買うのであればライブ映像がタップリと付いたDVD付きの初回盤を。割引になれば価格も安いので。

Bring it!(初回生産限定盤)(DVD付)

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PUFFY 「マイストーリー」