忌野清志郎 『Oh! RADIO』に詰め込まれた清志郎

自分なんかより、ずーと清志郎を追いかけてきたリスナーが沢山のレビューを寄せているので、レビューを書くこと自体が非常に恐縮だし書く尽くされているのですが、思うところあって『Oh! RADIO』に関して少々。
『Oh! RADIO』に関しては元々は大阪のFMラジオ局FM802の開局20周年を記念する楽曲で、蔦谷好位置プロデュース(これはこれで好プロデュースだと思いますが)の為、見えにくかった楽曲の本質が今回の忌野清志郎バージョンでは浮かび上がってきています。忌野清志郎の根底にあるソウル、ブルーズの要素がダイレクトに伝わってくる作品で、もちろん彼が一人で演奏している事が大きいのですが、この曲が遺作になっている事自体がブルーズだし、その声自体がソウルとしか例えようのない圧倒的な存在感を放っているのが凄い。
カップリングである「激しい雨」は2006年発売に発売されたアルバム『夢助』に収録されていた楽曲の別バージョン。忌野清志郎オールスターズと共に収録された今作のバージョンは、非常にロールしている印象でこれもまた忌野清志郎の本質としか言いようの無い楽曲。ある意味、RCサクセションを客観視した興味深い歌詞をあのメンバーで演っているわけで、不思議なくらい忌野清志郎が詰め込まれています。
ラジオに色々な意味で縁が深かった忌野清志郎の遺作が『Oh! RADIO』。そこに残されたメッセージも含めて忌野清志郎のストーリーはあまりにも出来すぎていて、本当に嘘みたいなストーリーですが、忌野清志郎の本質が滲み出た二曲がカップリングされた『Oh! RADIO』は多くの人の心に楔を打ったと思います。このシングルは多くの人に届くべきだし、この曲が糞の様なチャートの中で一等輝ける事を願っています。
忌野清志郎の思い描く平和と自分の思い描く平和に違いあれど、こんな曲が街で引っ切り無しに流れている様な国がきっとそうなんだろうな。

Oh! RADIO

Oh! RADIO