Princeの『LotusFlow3r』は全方位カバーの三枚組

Princeの新作『LotusFlow3r』が盛り沢山のCD三枚組で発売されているのでご紹介。

Princeの新作『LotusFlow3r』「Target」ミネアポリスが本拠地のディスカウント・チェーン店)での限定発売で、「Target」のHPからも注文は出来たのですが日本には送ってもらえませんでした。ようやくamazonなどでも発送が始まり、皆さんの手元にもとどいているのではないでしょうか?到着したCDは三つ折の簡素な紙ジャケに3枚のCDが入った簡素なもので、歌詞はもちろんその他のクレジットも記載が無く、まさに音源のみが届けられたという印象。
内容は『Lotus Flow3r』『MPLSound』というPrince自身のアルバムとBria Valenteという女性シンガー(前作『Planet Earth』にもボーカルで参加していましたね)のPrinceがプロデュースした作品である『Elixer』の三枚組。販売方法も特殊だったのですが、それに加えてこの三枚組の内容は凄い。日本のアーティストで例えるなら、つんくのソロアルバムにモーニング娘。のアルバムがカップリングになっているとか、capsuleのアルバムにPerfumeのアルバムがカップリングで付いてくるとか、小室哲哉のアルバムに華原朋美の・・・以下略。冷静に考えれば今までにありそうで無かった様な販売方法だと思うし、画期的な販売方法なのではないかとも思います。但し、あくまでもアーテイストとしての力関係がPrince>>>>>>Bria Valenteで、Princeだったから受け入れられた部分もあるでしょうし、日本では今のところ難しい販売方法なのかもしれません。とはいえ、プロモーションとしても非常に面白いと思いますし、今後も他のアーティストが似た様な販売形態を取る可能性はあると思います。
各作品に耳を移すと『Lotus Flow3r』Princeがこれでもかというくらいギターを弾きまくる(Jimi Henderixですよね)アグレッシヴな一枚で、『MPLSound』はどちらかというとメロウな面とファンキーさを打ち出した一枚になっており、両作品共に当たり前の様に作品のクオリティは高いと思います。何よりも音の質感がかなりクリアで一音一音が立っている印象を受けました。クリアといっても各楽器の響きが前面に出てきているので無機質な感は無いし、全体的にフュージョンやアダルトコンテンポラリーな響きも兼ね備えているといえるかも知れません。また、馬鹿に出来ないのはBria Valente『Elixer』で、非常にポップで耳障りの良いR&Bアルバムになっており、おまけ的な扱いなのが勿体無くらいの出来で、Princeがプロデュースした自身以外の作品の中でも上位の出来と言えると思います。
今作『LotusFlow3r』は三枚組とはいえ、一枚一枚が完全に棲み分けが出来ているのでロックよりのPrinceを好む方は『LotusFlow3r』、従来型のPrinceというかいわゆるR&Bやファンクが好きな方には『MPLSound』、そして完全に独立した女性ボーカルものながらもPrinceの色も色濃く出た作品Bria Valente『Elixer』と、過去にPrinceの作品に触れた事のある人はもちろん、初めてPrinceを聞く人にもどの作品かが必ず引っ掛かるのではないでしょうか。そのくらい三枚の作品が独立しカップリングされた様な内容に『LotusFlow3r』は仕上がっていると思います。

相変わらずのジャケだけどこの内容で2,000円弱の価格なのが素晴らしい。

Lotusflow3r/Mplsound/Elixir

Lotusflow3r/Mplsound/Elixir