The Rakesがサードアルバム『Klang』で追い求めた理想inベルリン

The Rakesといえば同時期にデビューしたバンド(例えばBloc Partyとか)に比べると、各メディアでは少々地味な扱いを受けているバンドだと思うのですが、初志貫徹的なサードアルバムを完成させていたのでご紹介。
今作『Klang』はベルリンでレコーディングされたという事が話題になっているのですが、そのサウンドが直接的にドイツに繋がっているかといえばそうでもなく、どちらかといえばそのメンタリティに大きな影響を与えているように感じました。音楽の傾向でいえば前作『Ten New Messages』と、それ程差異があるとは思えないのですが、ただひたすらにそのサウンドが研ぎ澄まされて来てシャープさが増している印象を受けます。
Rakesはそのサウンドの割に楽曲のメロディがしっかりしていて、あまりイメージには無いかもしれませんが、個人的には非常にポップなバンドだと思っています。だから前作『Ten New Messages』に収録の「We Danced Together」の様な突き抜けたポップさも持ち合わせている事こそがRakesの最大の魅力だと思っていて、今作『Klang』でもそのポップなサウンドセンスはいかんなく発揮されています(先行シングルになっている「1989」なんてBlurの様なポップセンスに満ち溢れた曲だと思う)。今作でいえば「We Danced Together」に当たるのは「That's the Reason」という楽曲で、この曲はRakesの新たな代表曲になり得る力を持った良曲だと思います。また、「The Light from Your Macのどこかオリエンタルな雰囲気も意外とアルバムに溶け込んでいて面白く、初志貫徹の中にも遊びというかアクセントはしっかりと入れてきています。そして何といっても『Klang』は10曲収録で全ての曲が3分前後の素晴らしく早急なポップアルバムに仕上がっているので、饒舌なポストパンクリバイヴァルに飽き飽きした人にこそ耳をかっぽじって聞いて頂きたいものです。

Klang

Klang

The Rakes - 1989