Gomezの『A New Tide』が兼ね備えた芳醇な味わい

UKのバンドGomezの通算六作目のオリジナルアルバムである新作『A New Tide』が素晴らしい作品だったのでご紹介。

Gomezといえばデビュー時は話題になったものの、その地味な音楽性もあっていまいち印象が薄かったのですが今作『A New Tide』では、こんなにポップで良いバンドだったっけ?という印象を受けました。相変わらずアーシーなサウンドと渋いボーカルは健在なのですが、今作『A New Tide』ではポップなメロディが耳に残り、非常に良いバランスでバンドが継続していると思います。Gomezはその音楽性からか本国よりもどちらかといえばアメリカで評価されているバンドなのですが、今作に関してはアメリカだけでなく日本でもかなり受け入れられるバランスの良いサウンドなのではないでしょうか。プロデュースはBrian DeckGomezとの共同プロデュースという事なんですが、Josh Ritter『The Animal Years』もこの人がプロデュースですから、渋いながらもなるほどなといったところです。ちなみにGomezはデビュー時からメンバー変更が無いまま六枚のアルバムを発表しているというチームワークが良いバンドで、ボーカリストを三人も擁している割には作品にまとまりの良さをヒシヒシと感じますし、ボーカルごとに曲の印象も大分変わるのですが、違和感無く一枚を聞き通す事が出来ます。シングルになった「Airstream Driver」から「Natural Reaction」の流れは圧倒的にポップで驚かせてくれますし、ゲストボーカルのStars/Broken Social SceneAmy Milanも上手く楽曲に噛み合っているのも嬉しいところ。
Gomezは存在感的にはSuper Furry Animalsに近い感じがするのですが、音楽的にはThe Coralを更にポップにして熟成していった感じで、昨今の若手バンドには感じられない芳醇な味わいを兼ね備えながら素敵にキャリアを重ねているバンドだと思います。
個人的にはGomezの音源は四枚目の『Split the Difference』までは購入したものの、このCDがCCCDだったので聞かず仕舞いで、そのままスルーした存在だったのですが、すみません心入れ替えて前作も購入致します。前作『How We Operate』Gil Nortonがプロデュースという事で、こちらも共同プロデュースですが面白い人選していますね。

A New Tide

A New Tide

Gomez - Airstream Driver この映像はシッカリとプロモーションになっていて、安上がりだけど効果的だと思います。