Pete Doherty のソロアルバム『Grace/Wastelands』が支えられている理由

Pete Dohertyのソロアルバム『Grace/Wastelands』が意外とカッチリ作られていたのでご紹介。

Pete Dohertyといえば未だにThe Libertinesの中心人物として語られる事も多く、本人も再結成に意欲的ではあるのですが、既にLibertinesとしての音源よりも、Babyshamblesでの活動を含めたそれ以降の活動の方が充実しているという状態にあるわけでして、今作『Grace/Wastelands』Graham Coxonが全面的に参加するなど、周囲のサポートと自身の才能が上手く機能した充実作になっています。今作がカッチリとした出来になっているのはBabyshambles『Shotter's Nation』に引き続きプロデューサーであるStephen Streetの貢献度が高いのは間違い無いのですが、これをオーバープロデュースと捉えるかどうかはかなり難しいところ。もちろん、このプロデュースが無ければかなりグダグダの感じになるのは良く分かるし、この様な形でリリースする事で、キッチリとした作品として成立させようとする意図も十分に分かるのですが、その緩さもPete Dohertyの魅力ではあるので、その辺は評価が分かれるのではないでしょうか。意外な事に『Grace/Wastelands』では「Sweet by and by」の様なジャズ風のアレンジがあったり、Pete Dohertyの幅広い音楽嗜好を窺い知る事が出来、音楽的な幅は広がっていますので、やはりその部分を引き出す為にもシッカリとしたプロデューサーは必要だったのだろうと思います。
Pete Dohertyは悪い意味では流されやすく、だけど人に委ねるのも得意で、純朴な人柄を時折覗かせる為、多くの人間を惹きつけてやまないのだと思います。今作でもPete Dohertyの詩人として、そしてアートワークを含めたアーティストとしての才能は十分発揮されていますし、多くのミュージシャンに支持されている理由がハッキリと分かる内容になっています。自分はPete DohertySyd Barrettの様に世捨て人になって行くのかなと思っていたのですが、むしろMorrisseyLou Reedの様に英国を代表するソロアーティストになっていくのかもしれませんね。『Grace/Wastelands』はそんな事がぼんやりとイメージ出来る作品で、ミュージシャンPete Dohertyを最も感じられる作品になっています。

初回の限定盤はDVD付。Pete Dohertyの作品はやはり対訳付の国内盤がお薦め。

グレイス・ウェイストランズ(限定生産スぺシャル・エディション)(DVD付)

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Peter Doherty - Last Of The English Roses

ちょっと乱れていますが、おまけ。