The Bluetonesの『Expecting to Fly』のDeluxe Editionを買うべき人達

The Bluetones『Expecting to Fly』のDeluxe Editionが発売されていたので顧みてみる。
The Bluetonesの記念すべきファーストアルバム『Expecting to Fly』がDeluxe Editionという事で、二枚組で再発されています。従来の音源のリマスター盤に未発表のライブテイク集(13曲入り)の二枚組ですが、正直なところ取り立てて書くことがありません。というのもリマスター盤といっても聞いてハッキリと分かるほどの音質の変化は無く(元から『Expecting to Fly』の音質が極端に悪かったわけでは無いですしね)、ライブ盤の方もデビュー当時のラフでアウトテイク的な音源だからで(Bluetonesは昨年に『Expecting to Fly』期の曲を演奏するツアーを敢行しており、その時のライブ音源ならさぞかし素晴らしかっただろうと思いますが)、熱心なBluetonesのファンの方、もしくは『Expecting to Fly』をまだ持っていない人にしかお薦め出来ません。以上。
という事で、今回は『Expecting to Fly』の内容とThe Bluetonesの歴史を簡単に振り返る感じで。
Bluetonesがデビューしたのは1994〜1995年なのでまさにブリットポップ全盛期なわけでして、同時期にデビューしたバンドが軒並み解散していく中で、地に足をつけて現在も活動している数少ないバンドだといえると思います。デビューシングル「Are You Blue or Are You Blind?」がそのバンド名通りの青さ満載のドポップなシングル(『Expecting to Fly』には未収録)だったのに比べて『Expecting to Fly』はどちらかというとアルバム全体が落ち着いたトーンで、当時は瑞々しいサウンドを期待していた為、ちょっと「アレッ?」と感じたのを良く憶えています。『Expecting to Fly』は全体的にThe Stone Rosesの影響を感じさせるギターサウンドに重きを置いたアルバムといえるのですが、「Bluetonic」、「Cut Some Rug」、「Slight Return」の三曲のシングルがシッカリと機能しており、曲の出来にバラつきはあるものの、デビューアルバムのわりに統一感を持った非常にアルバムらしいアルバムに仕上がっています。結果的にこの『Expecting to Fly』oasis『(What's the Story) Morning Glory?』という怪物アルバムを蹴落として全英第1位に輝いており、Bluetonesデビューを華々しく飾ると同時にUKの音楽史に残るデビューアルバムになっています。その後、Bluetonesは順調に活動を続け、『Return to the Last Chance Saloon』、『Science & Nature』とアルバムを発売しヒットを飛ばしたのですが、ベスト盤を挟み発表された四枚目のアルバム『Luxembourg』と五枚目のアルバム『The Bluetones』はインディーズから発売された為に一気にセールスを落としてしまい、世間からは忘れ去られてしまう事になります。

そんなBluetonesの歴史の中で、この『Expecting to Fly』というアルバムはBluetonesの最高傑作ではないものの彼等のアルバムの中では一番スケールが大きく、またオーソドックスなギターアルバムだといえますので、入門盤としても良いアルバムだといえるのですが、 Bluetonesはアルバムを発売する度にサウンドはタイトになり、独自のグルーブを持ったバンドに成長していき、アルバムのテーマも絞り込んだ素晴らしいアルバムを発売していきますので、まだBluetonesの音楽に触れていない方はこのアルバムをキッカケにぜひ全てのアルバムを聞いて頂きたいと思います。そして、現段階で最新アルバムの『The Bluetones』はそのキャリアを総括した素晴らしいアルバムですので、『Expecting to Fly』から飛び立ったBluetonesが到達した現在のサウンドを楽しみながら、出発点と到達点を比較してみても面白いと思います。
そして待望のニューアルバムは恐らく今年中に発売の予定、乞うご期待。

Expecting to Fly (Exp)

Expecting to Fly (Exp)

歌詞の乗せ方が絶妙な「Cut Some Rug」ついつい口ずさむのはいつもこの曲。