『R-1ぐらんぷり2009』の結果についても考えてみた
という事で一応『R-1ぐらんぷり2009』の感想でも。
雑感は続きで
今回のR-1ぐらんぷりは例年以上にネタの水準は高かったと思います。以下感想箇条書き。
・事前予想通りエハラマサヒロがバランスの良さで強さを発揮。
・バカリズムのネタは新しい発想力が大衆性を持った恐ろしいネタ。
・COWCOW山田よしは大円団に向かう構成力がフリップ芸の域を超えていた。
・あべこうじは漫談としては完成形
・鳥居みゆきは構成力と細やかで分かり難いボケが素晴らしかったが、舞台的過ぎてお笑いとして評価するのが難しい。
・桂三枝と江川達也の審査基準。
とまあ見るべきところは多かったものの、その審査結果に色々なところが荒れているようです。これは桂三枝(師匠)と江川達也(漫画家)の点数が決定的に中山功太の優勝に結びついているからであり、三枝師匠が小道具を極力使わない話芸を評価している点(あべこうじも高得点)と、漫画家ゆえにフリップ芸に対して厳しく評価したであろう江川達也の点数の幅が結果的に優勝者を決めた大きな要因のひとつになり(奇しくも全体的に御両人の評価は似ている)、その辺が単純に一般的な視聴者との笑いの量とはギャップがあったのかなと思います。その辺の評価軸は審査員本人にしか分からない部分ですが、ネタとしては何でもありのルールとゴールデンタイムで放送をやっている以上、テクニック+大衆性を基準に新しさや発想力を加味するしかないと思うのですがどうでしょう。個人的には中山功太のネタで笑う部分は少なかったのですが、下げ(オチ)の一言が非常に漫画的というか落語的というか、その部分はやはり両審査員には高く評価されたのではないかと思います。
事前予想ではあべこうじも中山功太も新しい引き出しを見せないと厳しいと考えていたのですが、どちらも今までの芸を深化させたネタで精度を上げてきていたのは素晴らしいと思いましたが、三枝師匠が中山功太にあべこうじ以上の点を入れた理由は聞いてみたいところ。どちらにせよエハラマサヒロとバカリズムとCOWCOW山田よしが今年のネタで他の年度にバラバラに出場していたら優勝でしょうね、恐らく。あと、審査発表の方法は従来型(点数を随時発表していかない)で良かったのではないでしょうか。得点が「ものまね王座決定戦」や「かくし芸大会」や「歌がうまい王座決定戦スペシャル」の様に若干バブル気味になっていた部分(堺正章のせいだとは言わないけれど)がありますし、点数を発表していく事でネタ以外の流れが出来てしまった部分があった様に思います。まあ、その流れの中でネタ順が最後だった中山功太に笑いの神が微笑んだという事にして無理やりまとめておきます。あとは是非中山功太には実家を買い戻してもらいアナザーストーリーを生み出して欲しいところ。こんなチャンスはそうはない。
以下採点内容。個人的には関根勤とか清水ミチコの審査が一番自分の感性には近いです。
三枝 関根 太平 清水 石井 江川 堺 計
98 95 99 97 97 99 98 683 中山功太
93 98 97 98 98 94 97 675 エハラマサヒロ
93 97 98 96 99 93 96 672 COWCOW山田よし
94 96 95 100 97 92 98 672 バカリズム
97 93 95 93 94 95 96 663 あべこうじ
92 95 97 91 95 95 97 662 サイクロンZ
90 94 94 90 92 91 94 645 鬼頭真也
87 93 89 91 96 90 96 642 鳥居みゆき
86 89 90 92 91 89 97 634 岸学
85 88 92 88 88 85 96 622 夙川アトム