The Riflesの『Great Escape』はセカンドアルバム症候群から飛び出したポップサウンド

The RiflesといえばMilburn、Little Man Tateと並び、「三大セカンドアルバム以降が不安バンド」として2006年辺りにデビューしたバンドとして有名（ウソ）ですが、セカンドアルバム『Great Escape』が無事に発売されたのでご紹介。
2008年に7インチで限定発売されたシングル「I Could Never Lie」（ダウンロードでは購入可能）はモータウンビートに乗せた良曲だったので、アルバムにもかなりの期待をしていたわけですが、『Great Escape』は結果的にその期待を裏切らない喜ばしい出来になっていました。全体的にポップな側に振れた今回のアルバムは、いかにもUKバンドなコテコテのメロディとギターサウンドが全編を支配しているわけですが、全体的に楽曲のレベルが向上しているので楽しめる内容になっています。「The Great Escape」、「Fall To Sorrow」のポップな楽曲の流れから始まり、「Strawberry Fields Forever」風のイントロにストリングスが絡み合う最終曲の「For the Meantime」まで、ポップなメロディが途切れる事無く続き、「Winter Calls」や「Rome and Julie」の様に新しい展開を持ちながらもシングルクラスの楽曲も収録するという完全なポップアルバム。最終曲後のありがちなボーナストラックの展開も含めて、今どき珍しい微笑ましさが逆に新鮮というか応援したくなる。まあ文句を言うなら「I Could Never Lie」がアルバム未収録で肩透しを立った事くらいで、この辺は国内盤に期待しておきましょう。いや、もちろん小さくまとまっているとか特徴が無いとか批評されるアルバムになるのかもしれないのですが、その純粋無垢な音楽至上主義（ポップ寄り）のバンドの絶滅を防がないといけないと思っているので、皆様どうぞ宜しく。
面白い事にMilburnはコンセプトを絞り込みながら独自のサウンドを追求したセカンドアルバムを作り、Little Man TateはひたすらLittle Man Tateの形を突き詰めたセカンドアルバムを作り、このRiflesは典型的なモッズサウンドからポップサウンドへ上手くシフトしたセカンドアルバム『Great Escape』を作り上げ、三者三様ながらに次の一手を指し示してくれました。勝手に名付けた三大バンドとはいえ、MilburnとLittle Man TateとともにThe Riflesが末長く活動出来る様に支持したいと思っていますし（Milburnは既に解散しちゃったけど）、それだけの内容があるセカンドアルバムに『Great Escape』は仕上がっていると思っています。

国内盤の発売は現在のところ未定の様ですが「I Could Never Lie」をボーナストラックで収録してくれる事を切望。

Great Escape

The Rifles - The Great Escape