Belle & Sebastianの『The BBC Sessions』から垣間見れる王道

お馴染みの『The BBC Sessions』のシリーズにBelle & Sebastianが登場という事でご紹介。

Belle & Sebastianといえば、90年代に現れたインディーズバンドの中でも理想的なペースで音楽活動を継続しているバンドだといえると思います。彼等が登場した時に、まさか10年以上も活動してアルバム7枚と数多くのSinglesやEPを発表するとは思いもよりませんでした。今でこそBelle & Sebastianは大衆性を兼ね備えてきてはいるものの、デビュー当時はメディアにほとんど姿を現さず、その実態が謎に包まれていたという事もあり、数少ない音源を発表して解散し、神話化してしまうのではないかという予感もあったからです。そのBelle & Sebastianが今なお瑞々しい活動を続けれているのは前述の大衆性が表れてきた事が大きいと思っていて、それはこの『The BBC Sessions』の中にも垣間見えていると思います。
今回の『The BBC Sessions』は音源は年代的には古いものですが、初期の音源のベスト盤的な選曲になっていますので、初めてBelle & Sebastianを聞くという人にもお勧め出来る内容になっています。目玉は二枚組のLimited Editionの二枚目のディスクに収められたライブ音源で、そこにはBelle & Sebastianというバンドの本質を垣間見る事が出来ます。収録曲の中でもカバー曲である「Here Comes the Sun」(The Beatles)、「I'm Waiting for the Man」(The Velvet Underground)、「The Boys are Back in Town」(Thin Lizzyの三曲から特にBelle & Sebastianの本質が垣間見えていて、神経質で文学的で内向的なイメージのある彼らの別の側面がクローズアップされています。Belle & Sebastianはライブではその楽曲のイメージと裏腹にアグレッシブでアットホームで楽しいステージを見せてくれていますし、中心人物のStuart Murdochに至ってはボクサーの様な引き締まった体型で、跳ねたり踊ったりと体育会系なパフォーマンスも披露するといった一面も見せてくれています。カバー曲のセンスもどちらかというとベタでマッチョな選曲であり、王道なロックからの深い影響も感じる事ができます(彼等はライブで数多くのカバー曲を披露していますが、得てしてその選曲のセンスはベタな感じ)。「The Boys are Back in Town」のカバーなんてイメージに無いなと思っていたのですが、意外にシックリきていますし、ライブの中でも存在感を放つ良カバーだと思います。Belle & Sebastian『The BBC Sessions』は暖かなライブの空気を感じさせながらも、完成度の高いレアなトラックやセッションが収録されており、一見さんから常連さんまで多くの人々を満足させる愛聴盤になるのではないでしょうか。

歴代の『The BBC Sessions』シリーズ中でも良作。購入するなら是非二枚組の方を。

The BBC Sessions

The BBC Sessions

Belle & Sebastian -The Boy With The Arab Strap-