HOLIDAYS OF SEVENTEENの解散と「Sarah」に寄せて

HOLIDAYS OF SEVENTEENの解散ライブに行ってきました。
解散の一報を受けたときには、相次ぐメンバーの脱退にボーカルの三浦太郎君のソロ活動もあったため、驚きの感情よりも自然な流れの中での解散だと受け止めていたのですが、実際にライブに行ってみるととてもじゃないけど解散するバンドのライブではなかったです。拗らせた風邪を悪化させないためにマスクフル装備での参加だったのですが、パンパンに入った会場でガンガンに効いていたはずのエアコンも熱量に押されだし、マスク越しにもその熱量がヒシヒシと伝わってくるライブになりました。
HOLIDAYS OF SEVENTEENといえばパワーポップというシーンで語られることが多く、Weezerのライブの前座もやったぐらいなので、和製Weezer的な取り上げられ方も多かったと思います。もちろん、その系譜のバンドであることは疑いようもない事実ではあるのですが、もっと幅広い文脈で語られてもおかしくないバンドだし、そのポテンシャルの高さは特筆に値するバンドだったと思います。解散ライブでは自分たちの代名詞であるパワーポップサウンドを前面に出しながらも、その辺の柔らかさというか良い意味で雑多なサウンドを存分に楽しむことが出来ました。HOLIDAYS OF SEVENTEENの解散で語られるべきことは、バンドとしての思い出だけだけではなくその楽曲達でもあるわけで、その意味では置き土産である楽曲「Sarah」は、奇しくもHOLIDAYS OF SEVENTEENというバンドとその解散を語る上で、最も重要な楽曲に仕上がっています。
物語のはじまりでもあり、まだまだ物語が続いていく事を喚起させるこの楽曲は、パワーポップのマナーに忠実でありながらも、パーティバンドでもあったHOLIDAYS OF SEVENTEENのエッセンスが凝縮されています。プロデュースは盟友山本幹宗(ex The Cigavettes)君ということで、ザクザクとしたギターのサウンドプロダクションが上々の仕上がり。飛び抜けてポップでロックンロールバンドだったHOLIDAYS OF SEVENTEENのコアになっていた部分を再確認することが出来ます。兎にも角にもこの曲を最後に発表するなんて憎いあンちくしょうなバンドです。
HOLIDAYS OF SEVENTEENの活動期間は11年で、同時期に福岡にはThe Cigavettesという素晴らしいロックンロールバンドも居て、自分がその両方バンドの解散ライブを見届けることが出来たことは非常に感慨深くもあります。バンドなんていつかは解散するものだし、その後も音楽や人間は続いていくものだけれども、その瞬間瞬間の重なりが新しい次の何かを生み出しいくんだろうなぁと思ったりなんだり。一つの季節が終わっていったという脱力感はあるものの、次の何かを楽しみにしたいと思います。

HOLIDAYS OF SEVENTEENの一曲といえばこの曲。Lyme-RecordsのTシャツが眩しいぜ。