Gary Barlow 『Since I Saw You Last』 Robbie Williams 『Swings Both Ways』 Mark Owen 『The Art Of Doing Nothing』をまとめる

Gary Barlow 『Since I Saw You Last』 Robbie Williams 『Swings Both Ways』 Mark Owen 『The Art Of Doing Nothing』の三枚を並べてみる。

取りあえず、三役そろい踏みという雰囲気の収まり方。三枚ともDeluxe Editionを買っているというのもあるけど、装丁も似たテイストで微笑ましいです(というか、GaryとMarkは同じポリドールからの発売だから全く同じ素材ですね)。
Gary Barlowの最新作『Since I Saw You Last』はフルアルバムとしては1999年の『Twelve Months, Eleven Days』以来なわけで、実に14年の月日が流れてしまっており、満を持してというよりは慎重に慎重を重ねて発売されたという印象があります。前作の評価が芳しくなく、セールス面でもダダ滑りだったわけで、ソロアーティストとしては復権をかけた一枚といっても良いでしょう。結果的に今作はセールス的には全英2位を獲得しており、取りあえずは一安心だというところ。肝心な内容も各方面で保守的だ、面白みがないと叩かれているようですが、個人的には悪くないと思っています。
Beatles風の「Requiem」(Robbie Williamsとの共作!)や「Small Town Girls」があったり、「Let Me Go」では Mumford & Sonsようにアップテンポなフォーク・カントリーテイストも取り入れていたり、「Face To Face」では Elton Johnと共演を果たすなど、楽曲の幅自体は広がっていると思いますし、英国ポップス伝統の軽みがありながら落ち着きのあるポップアルバムは仕上がっています。もちろん、Gary Barlowのソングライティングの魅力やボーカルアルバムとしても楽しめる一枚になっていると思いますし、必要以上に貶められているのは、過剰な期待と人気者への風当たりの強さもあるのではないかと思います。
面白いのは従来は4人時代のTake ThatからMark Owenが担っていた軽みが、Gary Barlowからも感じられることになったことで、重厚感があって美しいメロディのバラードを手がけることに定評があったGary Barlowにしてみれば、『Since I Saw You Last』には冒険的な一面もあると思います。ただ、実験的かといえばそれは違いますし、近年のTake Thatがサウンド的にも攻め続けていることに比べるとサウンド的には物足りなさが残ります(一方で実験的だったのはMark Owenの『The Art Of Doing Nothing』だ)。ただ、Gary Barlowにしてみればシンプルで飾りの無い『Since I Saw You Last』のような作品を作らないことには前に進めないことも確かで、その意味では『Since I Saw You Last』は必然的なアルバムのようにも感じました。
そして、Robbie Williamsの『Swings Both Ways』。これはRobbie Williamsのスウィングを基調にしたジャズ・ビッグバンドテイストが溢れる作品で、このシリーズの第一弾にあたる『Swing When You're Winning』が全曲カバー曲だったことに比べると半数以上の7曲がオリジナルの楽曲という事が特筆すべき点。ゲストとしてLily Allen、Olly Murs、Rufus WainwrightKelly Clarkson、Michael Bubleともの凄く豪華な面々が参加しています。ということで取り上げるべきは【ふたりのシーズン】のコーナーだということで各楽曲の詳細は割愛。一聴した感じでは全体的に無難な仕上がりで、とにかくエンターティナーでやんちゃで憎めないRobbie Williamsの魅力が存分に発揮された一枚という印象でした。
あと、実はMark Owenの『The Art Of Doing Nothing』に関してはレビューが80%ぐらい書けていたのですが、結局書き上げることが出来ず仕舞い。でもこれを機に奮い立たせて何とか近いうちに書き上げたいと思います。
この様に三者三様ながらTake Thatのメンバーの三人がソロアルバムを発売するという意義深い年に2013年はなったわけですが、相変わらずこの辺をフォローしている媒体がwebを含めても日本には少なすぎる実情が悲しすぎるので、良かったらぜひどうぞ。

Since I Saw You Last: Deluxe Edition

Since I Saw You Last: Deluxe Edition

Swings Both Ways: Deluxe Edition

Swings Both Ways: Deluxe Edition

Art of Doing Nothing; Deluxe

Art of Doing Nothing; Deluxe