Wheatusの『The Valentine LP』をダウンロードしました

Wheatus待望の新作『The Valentine LP』を、皆様もそろそろダウンロードされた頃だと思います。多分に漏れず、自分もメルマガで案内がきてすぐにダウンロード(自分はVinylバージョンを買いました)して、ずーっと聞いています。
サウンド的には前作『Pop, Songs & Death』シリーズからの流れを汲んでおり、音の洪水のようにサウンドが重なり合って全体的に重厚感のあるトラックに仕上がっています。『Pop, Songs & Death』を初めて聞いたときには、そのサウンドの重厚さからか、やや籠もったようにも感じたのですが、前作から今作『The Valentine LP』を聞き続けて思ったのは、このサウンドが今のWheatusサウンドの最大の特徴になっていて、このスタイルこそが21世紀版のウォール・オブ・サウンドなのではないかということ。それだけ、他には例えようのないWheatusサウンドに仕上がっていると思います。
今作『The Valentine LP』は前情報でいわれていた様に、ファーストアルバム『Wheatus』やセカンドアルバム『Hand Over Your Loved Ones』(Suck Fony)に原点回帰したようなポップなメロディが増えてはいるのですが、それは長尺の曲が多くサウンドや歌そのものに重きを置いた作風だった『Pop, Songs & Death』シリーズに比べてのことであって、断片的にポップさは感じるものの全面的にポップな作風では決してありません。それでも前述したサウンドとメロディのコントラストは素晴らしいと思うし、印象的に二胡が使用された「Break It Don't Buy It」のような楽曲や「Mary Mary Sea Serpent」のように軽みのある曲が収録されていることがアクセントとなっていることもあり、アルバムを通して重たさは感じません。元々女性コーラスの使い方には定評があるWheatusではありますが、『The Valentine LP』を聞いているとコーラスワークとのバランスの良さが際立っており、そのことも『The Valentine LP』を風通しの良い作品にしている要因のひとつだと思います。重厚なサウンドWheatusらしい軽みが加わったことで、現時点でのWheatusの総決算のようなアルバムに『The Valentine LP』仕上がっているし、決して突き抜けた作品ではないものの、相変わらず信頼の置けるバンドだということを確認できたことをなによりも嬉しく感じます。
もっと聞き込んでサウンドの要素を紐解きたくなるアルバム。まだダウンロードされていないかたはぜひどうぞ。

付属のコミックを見る限り、世界観は「アイアムアヒーロー」のような印象を受けます。
Valentine LP