GiNGER×JACKDAW4がかけた魔法の一夜

という事でGiNGER(THE WiLDHEARTS)の来日公演に足を運びました。心配していた通り客の入りは悪かったのですが、物販には人が並び活気がありました。以下感想です。
前座のJACKDAW4Willie DowlingJohn Steelの二人でのパフォーマンスでキーボードとアコースティックギターの構成。流石にキャリアのあるWillie Dowlingが率いるバンドだけに安定感のある手堅い仕上がりでした。鍵盤がフューチャーされている事でBen Folds Fiveなんかが思い浮ぶサウンドで、丁寧なポップソングでありながら楽曲の構成の妙が感じられるライブでした。とにかく二人の演奏力と楽曲のクオリティの高さを感じるライブでしたので、次はバンド編成でのライブで。ラストに演奏した「Hey Bulldog」も素晴らしかったのですが、その時はなぜBeatlesのカバーを最後に持ってきたのかが分からなかったのですが、GiNGERのライブを見終えて納得。前座からシッカリと流れを作っていました。
さて本編のGiNGERのライブはJACKDAW4の二人を従えてのギター三本でのパフォーマンスだったのですが、これがもう圧巻。演奏が始まりGiNGERの声が出た瞬間に涙腺が緩みました。初めてハッキリ自覚したのですが自分はこの人の優しい声が本能的に好きです。ただでさえ、JACKDAW4の二人のスキルが高い上に、GiNGERが加わるわけで、これが悪くなるはずが無くて、三人のギターの絡みとコーラスワークは想像以上の素晴らしさでした。
選曲的にはGiNGERのソロライブというよりWiLDHEARTSを中心としたキャリアの総決算的な内容で、そこにHoneycrackの楽曲やカバー曲を交えてくるという構成でしたが、これがまた素晴らしかった訳で、何が素晴らしかったかというと自分達の楽曲のルーツ、元ネタを辿りながら上手くメドレーやミックスでカバー曲を挟みながらライブが展開していった事で、結果的にこれがもう、60年代からのポピュラーミュージックの流れを凝縮した様な内容になっていて、GiNGERWiLDHEARTSの楽曲を全く知らない人が遭遇してもきっと楽しいに違いないとしか表現の出来ない内容でした。
ちなみに冒頭のツカミからGiNGERはトリス(ハイボール)の歌を何度も歌っていたのですが、トリス(ドリフ)から変なおじさん(志村けん)を歌いだすというのも流れを汲んでいるし、Puffyを会場に歌わせておいて 本編ではBeatlesのカバーを数曲挟んでくるという辺りも素晴らしい流れでした。GiNGERWillie Dowlingは旧知の仲(ご存知の通りWillie DowlingはキーボードとしてWiLDHEARTSに参加経験あり)だけに演奏の息がピッタリなのはもちろん、MCも含めた進行自体も阿吽の呼吸だった訳で、エンターティナー気質のGiNGERの言葉のチョイス、間の取り方が絶妙だった事も手伝って、ライブは楽しくもあり微笑ましくもあり、そして物凄い熱量を放ちながら進行していきました。元々GiNGERは天才だとは思っていたのですが、正確にはGiNGERはUKロックの血脈を伝える正統派のシンガーソングライターでもあり天才的なマルチプレイヤーであり稀代のエンターティナーでもあった訳で、その事が今回のライブではヒシヒシと伝わってきました。何よりもアコースティックライブという事で、WiLDHEARTSの楽曲のメロディの素晴らしさも際立っていたし、ルーツとなる歴史的な楽曲と繋げて演奏しても引けをとらなかったと言っても過言ではないほどのメロディの質の高さを感じました。それでいて、従来のハードロックスタイルで聞かせる熱量を落とす事無く一時間半のライブを完奏するという奇跡的で魔法にかかったようなライブでした。
惜しむらくは動員が芳しくなかった事で(その分会場の一体感は凄かったけど)、自分もなぜこの場に知り合いを連れてこれなかったのかを悔やむばかりでした。幸いグッズはソールドアウトも多かったし、購入したライブCDも在庫不足で郵送での対応になるくらい盛況だったので、次回があるのであれば何としても会場を埋めて恩返したいものだとトリスをがぶ飲みしながら唇を噛んで感想は終了です。

サントリー トリスハイボール 350ML × 24缶

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