Viva Brotherの『Famous First Words』で思い出すあの時代のバンド

Viva Brotherのデビューアルバム『Famous First Words』を聞いています。
前評判ではブリットポップの申し子的なバンドだと方々で書かれており、確かにアルバムを聞いた第一印象としては90年代のUKロックを凝縮させた様な美味しいところ取りのアルバムになっていると感じました。プロデュ−スもStephen Streetという手堅い人選です。ただ、特定のバンドの強い影響下にあるかといえばそうでもなく、もちろん本人達も公言している通りブリットポップ期のUKのバンドにダイレクトな影響を受けているのは間違いないし、ボーカルの声質はDamon Albarnをエモーショナルにした感じでコーラスもBlur風、oasis的なギターサウンドもところどころ顔を覗かせるのですが、先人の成功を収めたバンドと違って何かで突き抜けているという訳ではなく、総合力で勝負するタイプのバンドだと思います。リズム隊が安定していてまとまっている事と、全体を通してメロディがシッカリ書けているという点がViva Brotherの強みだと思いますし、いかにも英国風のボーカルの節回しはそのメロディと当たり前の様に相性が良い訳で、支持される層にはシッカリと支持されるサウンドだと思います。でもまあ『Famous First Words』というアルバムは、やはり新しさを感じさせる様なタイプのサウンドではない為、賛否両論があるのも致しかたないところで、これをViva Brotherが乗り越える為にはひたすらメロディを磨き続けるしかないのだと思います。デビューアルバムにして、全ての楽曲が一定以上のメロディのクオリティをクリアしながら10曲34分にまとめあげる事の出来るバンドはそうはいないですし、アルバムの冒頭の「New Year's Day」やエンディングの「Time Machine」にはスケールが大きなバンドに成長しそうな可能性を感じますし、「High Street Low Lives」「Otherside」「Fly By Nights」辺りも腰が据えられたミドルテンポで良く書けたポップソングだと思うので、飛躍的な進化を果す可能性を考えれば次の作品がViva Brotherの大きな勝負という事になるのだと思います。
Viva Brotherを聞いていると個人的にはThe GyresかNorthern UproarとかShed Sevenが思い浮んでしまうのですが、The Gyresの様にアルバム一枚で終わるのではなく、出来ればNorthern Uproarの様にセカンドアルバムで大きな飛躍*1を遂げて欲しいし、もっといえば結果的にShed Sevenの様に末長い音楽活動を出来るバンドになって欲しいとは思います。まあビッグマウスの本人達にすれば、もっと遥か遠くを目指しているのでしょうが、まずは飛躍を遂げるであろうセカンドアルバムの完成からクリアしていって欲しいものです。Vivaブリットポップ

Famous First Words

Famous First Words

*1:といってもセールス面ではサッパリだったのであくまでもクリエィティブな面ですが