Glasvegasが『Euphoric Heartbreak』で得たもの失ったもの
書きかけて挫折していたGlasvegasのセカンドアルバム『Euphoric Heartbreak』のレビューでも。
正直に書くと、最初は全くピンとこなかったのが、このGlasvegasの『Euphoric Heartbreak』。デビュー作『Glasvegas』で聞かせたJames Allanの演歌の様に歌い上げる節回しと、シューゲイザーというよりも、ウォール・オブ・サウンド的な甘美さやシンプルで印象に残るその大衆的な歌に魅力を感じていたのですが、セカンドアルバムでサウンドがスケールアップを果した事で、色々と相殺されてしまった印象を受けます。一番残念なのが歌に対する意識が希薄になり全体的にメロディが書けていない事で、『Glasvegas』で感じた中毒性が薄れたしまった点。確かに、轟音を紡ぎあげるサウンドに重きが置かれる事で音に厚みが出ていますし、アルバム後半の畳み掛けるような音の洪水はハイライトで、爆音で聞けば快楽度も高くGlasvegasの目指した部分は理解出来ます。しかし、『Euphoric Heartbreak』でのサウンドは他の多くのバンドも試みてきた部分でもあり、Glasvegas唯一無比の部分ではないのではと思いますし、『Euphoric Heartbreak』という作品の中で、大きなポテンシャルを秘めたGlasvegasの本質的な魅力が発揮されていないのは少々残念ではあります。
まあもちろんデビューアルバム『Glasvegas』が予想以上に受け入れられたという反動でもあり、共同プロデューサーもRich Costeyから、U2を筆頭にいわゆる大作を手掛ける事が多いFloodへと変わった事で分かりやすい展開ではありますし、致しかたない部分はあるとは思います。そして、個人的には評価が難しかった『Euphoric Heartbreak』ですが、シューゲイザーサウンドが好きなリスナーには歓迎されるでしょうし、評論家に対しての受けは決して悪くない作品だとは思うので、新たなリスナーを獲得出来るだけの力がある作品にはなっていると思います。という事で、次作ではGlasvegasの魅力が最大限に聞ける事を期待しながら終了です。
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