The Raveonettesの『Raven in the Grave』で聞かせるジャケット通りのメランコリック
The Raveonettesの『Raven in the Grave』をご紹介。
前々作『Lust Lust Lust』がシューゲイザーで、前作『In and Out of Control』はポップさが際立つ作品でしたので、新作『Raven in the Grave』はどの様な仕上がりになるのかなと思っていたのですが、そのジャケットとタイトル通りのダークでメランコリックな作品になっていました。前作ではウォール・オブ・サウンドの影響を受けた楽曲が印象的だったのですが、今作で分かり易いポップさを聞かせている楽曲はリードシングルでもある「Recharge & Revolt」くらいで、退廃的で沈み込むようなサウンドが『Raven in the Grave』の中心となっています。『Raven in the Grave』は分かり易く書いてしまえばVelvet Underground的なアプローチだともいえ、ノイジーなサウンドに印象的なギターのリフとSharin Fooの甘美で抑揚の無いヴォーカルが乗る事で、独特なサウンドスケープを構築していると思います。一方で、極力シンプルなサウンドで構成された楽曲も『Raven in the Grave』には収録されており、それらの楽曲はSharin Fooのヴォーカルを浮き立たせる事に成功しており、この辺の試みも上手くいっていると思います。
この様なサウンドを生み出す為に、『Raven in the Grave』の個々の楽曲は今までのRaveonettesの楽曲よりも長め(9曲で35分)になっており、コンパクトなポップさは、やや減退しているとは思います。ただ、Raveonettesの持つポップな魅力が完全に失われているかといえばそうでもなくて、基調となっているメロディ自体は非常に分かりやすく親しみやすいものではあるので、その辺のバランスはギリギリのところで取れているのではないかと思います。
という事で、『Raven in the Grave』一枚でRaveonettesを評価するというよりは、『Lust Lust Lust』と『In and Out of Control』と合わせて三部作でRaveonettesのサウンドが完結している様に感じます。その意味ではきっちりと2年毎にアルバムを発売してきたRaveonettesの次作は集大成的な内容になるのかもしれません。『Raven in the Grave』からRaveonettesを聞く人には、ぜひ『Lust Lust Lust』と『In and Out of Control』もどうぞ。
サウンドとの印象がぶれないアルバムジャケット。
- アーティスト: Raveonettes
- 出版社/メーカー: Vice
- 発売日: 2011/04/05
- メディア: CD
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