Mystery Jetsが『Serotonin』で聞かせる進化と力強さ

Mystery Jets『Serotonin』が一転してギターロックに接近した作品になっていたのでご紹介。
前作『Twenty One』ニューウェイブ色が強い作品で、どこか神秘的でサイケでプログレッシブさのあったデビュー作『Making Dens』から一転した印象があったのですが、今作『Serotonin』では更に方向性を変えてきました。前作で見られたニューウェイブ色が薄めで、シンセサイザー自体の印象的な音色はあるものの、一気に王道的なギターロックに変化を遂げています。『Serotonin』自体にはポップなメロディは健在なものの、前作で見せた可愛げのあるポップさではなく、メロディックになったという印象で、ギターが中心となったサウンドに力強さを覚えます。先行シングルだったFlash A Hungry Smile」や次のシングルである「Dreaming of Another World」だけでなく、「The Girl is Gone」(ギターソロがShe & Him「In the Sun」のアウトロを髣髴させる)、「Show Me the Light」の様にシングルに出来る楽曲もあり、ソングライティングの面では大幅な進化が見られます。
Rough Tradeに移籍した事も、一見ミスマッチなくらい超大物プロデューサーのChris Thomasを招いているのも、Mystery Jetsが次のステップに進んだ事を如実に表しているし、それらの事は今作に関しては功を奏していると思いますが、この変化の先に、もしも元来持っていたMystery Jetsの魅力が完全に潜めてしまう事があるなら、更なるソングライティング能力の向上と新たな魅力の引き出しが求められるでしょうから、その辺は上手くバランスをとりながら進化していって欲しいと思います。

Serotonin

Serotonin