Rooneyの『Eureka』に掛けた期待とバンドの未来

Rooney三枚目のアルバム『Eureka』が発売されていたのでご紹介。 Rooneyといえば2003年に発売されたデビューアルバムRooneyもヒットし、2007に発売されたセカンドアルバム『Calling the World』からも「When Did Your Heart Go Missing?」がヒットするなど、決してペースは速くないものの順調なキャリアを積み上げてきたバンドで、個人的には今作『Eureka』にも大きな期待を寄せていました。
そして発売された『Eureka』を早速聞いている訳ですが、第一印象としては前作から比べるとウエストコーストっぽさや、泥臭さが減少し耳なじみが良くなったという印象。クラシカルなポップソングへの接近が意図的に図られてる様で、80年代らしいキーボードとコーラスワークなど従来型のRooneyサウンドはあるものの、全体を通せばシンプルなポップソングを作る事に重点が置かれている様に感じます。アルバムの冒頭を飾る「Holdin' On」、先行シングルになった「I Can't Get Enough」「All or Nothing」などの楽曲はRooney流のポップソングに仕上がっていますし、「The Hunch」ではホーンアレンジに昨年『A Watched Pot』で嬉しい復活を遂げたBleuを招いており、大胆にホーンとの融合を果たしています。また一方では、「Into the Blue」の様にシンプルなピアノでじっくりと聞かせるバラードも非常に印象に残る事も『Eureka』の特徴といえると思います。
結果的にこの様な変化をどの様に受け取るかでアルバムの印象も変わるかと思うのですが、節操が無いほどの幅広かったサウンドを削ぎ落としてシンプルになった分、より歌にスポットライトが当たり、Robert Schwartzmanのボーカルを楽しめるアルバムではあるのですが、その反面メロディの物足りなさがちょっぴり目立ってしまうのは確かで、Rooney最も優れていた様々な時代からのサウンドをバランス良く消化するという面も薄れてしまっていると思います。
とはいっても、『Eureka』からはRooneyが一歩一歩ですが着実に進化を果そうとしている姿勢は十分に感じられますし、まだまだ伸びしろのあるバンドだという事も感じられる作品になっています。Rooneyはバンド創設期からのベースであるMatt Winterが脱退した(とはいっても今作にまでは関わっている様ですが)影響もあって、バンドの状態が万全とはいえないかも知れませんし、次作がターニングポイントになることは間違いないと思うのですが、もっともっと素晴らしい作品を作れるはずですので、思いっきり期待しておきたいと思います。

Eureka

Eureka