The Futureheadsが『The Chaos』で見せた軽妙な切れ味

The Futureheads四枚目のアルバム『The Chaos』が前作に引き続き自身のレコードレーベルNul Recordsから発売されていたのでご紹介。
Futureheadsといえば2000年代のポストパンクリヴァイバルの最中にデビューした代表的なバンドですが、他のバンドが失速していく中、しっかりとアルバムを届けてくれています。正直なところ、セカンドアルバム『News and Tributes』サウンドの風呂敷が広がったものの、サウンド自体のキレというかFutureheadsの持ち味である軽妙なサウンドが失われつつある様に感じましたので、このままでは諸刃の剣の様な結果を生むのではないかと思っていたのですが、サードアルバム『This Is Not the World』では原点回帰の兆候が見られて、良い方向にバンドが向かう予感を感じさせてくれていました。
そして今回のアルバム『The Chaos』は、完全な原点回帰を果しながらFutureheadsの持ち味であるキレと軽さに磨きが掛かる事によって、ようやく次のステージに進めた様な一枚に仕上がっています。冒頭からの「The Chaos」「Struck Dumb」「Heartbeat Song」の流れはFutureheadsの持ち味を活かした王道的な楽曲ですし、アルバムの後半では若干サウンドに重たさが出てくるものの、組曲的な壮大さすら感じる正にタイトル通りの最終曲「Jupiter」では新境地を聞かせてくれていますし、全体を通せば想像以上の仕上がりで、DevoXTCに例えられるFutureheadsの面目躍如のアルバムになっていると思います。
三枚目までは国内盤が発売されたFutureheadsですので国内盤にも期待したいのですが、現状かなり厳しいと思いますのでご支援を。

Chaos

Chaos

ヘンテコですが洗練されてきた感のあるPVもどうぞ。