The Soft Packのデビューアルバム『The Soft Pack』に宿るスピリッツ

何となくそのイケそうでイケてないそのジャケットと話題性に惹かれ購入していたものの、なかなかレビューに掛かれなかったのですが、聞き込む程に良作だと感じるようになってきたThe Soft Packのデビューアルバム『The Soft Pack』をご紹介。
正直なところ、一聴した感じでは全体を通して凡庸というか地味な印象が強かったのですが、徐々にその印象が変わってきました。確かにジャンルだけを見ればガレージ色・パンク色のあるギターロックという事で、あまり特色は無いオーソドックスなスタイルなのですが、サウンドにまとまりの良さを感じる楽曲群とそのメロディのクオリティは高く、あっというまに聞き終えてしまうこの『The Soft Pack』という作品は聞く度に印象が良くなる不思議な魅力を持っています。冒頭からアップテンポでフロア映えしそうな「C'mon」でアルバムは幕を開け、「Down In Loving」「Answer To Yourself」と一気に畳み掛ける様な展開でアルバムは進行するものの、微妙なサウンドのニュアンスを変化させながら突き進む事で、全体を通せば一本調子にならない内容に仕上がっているのがミソで、「Mexico」の様な変化球を挟みながらの直球勝負は十分な魅力を放っています。そしてThe Soft Packの評価を決定的にするのがそのライブで、予想通りにイケていないその風貌はともかく、スタンドドラムの佇まい、そしてギターを掻き毟る様に弾き倒すそのアグレッシブなバンドの姿が非常に印象的で、思わず、決してポストパンクのサウンドとは言えないかもですが、思わずGang of Fourを引き合いに出したくなる程のパンクな精神も宿っていると思いますし、サウンドのみならず不思議な存在感を持ったバンドだと思います。
The Soft Packは元々The Muslimsというバンド名でデビューを飾っていたのですが、そのバンド名が宗教的な意味合いで取られる事が多く、色々と大変だった様で、バンド名を改名しての再スタートした訳で、決して順風万端なスタートを切れた訳ではないですし、決して革命的なバンドでは無いのですが、その演奏のスキルやポテンシャルを考えれば、非常に有望なバンドである事は間違い無いですし、思わず応援したくなる要素をふんだんに持っていますので、今後もしっかりと見守っていきたいと思います。

Soft Pack

Soft Pack

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海が決して爽やかさを感じさせないですが、親しみが持てる映像