Ben Leeが『The Rebirth of Venus』で見せたポップミュージックへの愛情

前日に予告した通りBen Lee『The Rebirth of Venus』のレビューです。
Ben Lee『The Rebirth of Venus』Ben Leeの7枚目のアルバムでBen Leeのポップセンスが爆発したアルバムになっています。Ben Leeといえば 1993年にNoise Addictとしてデビューしていますので、キャリアとしては16年。デビュー当初はオルタネイティブなイメージで語られていたのですが、ソロでのキャリアを重ねるにつれてシンガーソングライターとしての地位を確固たるものにし、2000年代に入ってからは特にポップソングを意識した楽曲を連発するようになりました。その集大成ともいえるアルバムが前作『Ripe』で、非常に風通しの良いポップミュージック集を完成させる事に成功しています。
そして待望の新作『The Rebirth of Venus』では更にポップ路線を推し進めながらも、強いメッセージや少しだけスケールを広げ新たな一面を描き出した一枚に仕上がっています。シングルになった「I Love Pop Music」(ゲストボーカルのMissy Higginsのボーカルも良いですね)からしてその潔い決意表明なのですが、アルバム全体を通してポップミュージックへの愛で満ち溢れた作品になっており、その長いキャリアの中での最高傑作といっても良い作品になっています。「Surrender」、「Sing」、「I Love Pop Music」とポップソングを連発するなど、前半は歌とポップミュージックに焦点を当てた展開に終始しますが、中盤にはYoko Onoが連呼される「Yoko Ono」Carrick Moore Gerety(元Push Kingsで現在はEverybody Elseとして活躍中)との共作でじっくり聞かせる「Bad Poetry」Jason Schwartzmanとの共作であるメッセージ性の強い「Wake Up to America」などアクセントになる楽曲が収録されています。そして終盤に収録された「Families Cheating at Board Games」の様にスケールのある楽曲を歌い上げ、生命賛歌の様な「Song for the Divine Mother of the UniverseBlur「Tender」風ですな)では合唱隊とボーカルを重ねる事でエンディングを演出しており、アルバムの最後まで飽きさせる事無く一気に聞かせてくれます。
先日もご紹介した通りプロデューサーはSherwood『Qu』のプロデュースも手掛けたBrad Woodで、手堅い仕事っぷりです。
Against Me!、The Grates、The Ataris、John LennonMGMT、Hunters and Collectors等のカバー曲が収録されたスペシャルエディションも出ていますね。これも魅力的(ちょっと高いけど)。

Rebirth of Venus-Special Edition

Rebirth of Venus-Special Edition