Third Eye Blindの『Ursa Major』がアメリカで売れている理由

Third Eye Blindの6年振りの新譜『Ursa Major』が売れている。しかも、物凄く売れている。Billboard 200のチャートでは3位で何とDigital Albumsの方ではチャート1位!!何故彼らの『Ursa Major』がこれ程売れているのかを考えると共に内容のご紹介。
Third Eye Blindといえば「Semi-Charmed Life」の爆発的なヒットによって、一気にスターダムに駆け上がったバンドですが、その後アルバムをリリースするものの大きなヒットに恵まれていなかった印象があります(前々作『Blue』はあえてプロモーションをしなかった為、セールス的には振るわなかったですが、前作『Out of the Vein』は12位を記録しているので決して売れていなかったわけではないのですが)。『Out of the Vein』からのリリースの間隔が6年と開いたので、これ程のヒットがにわかに信じられなかったのですが、アメリカでは多くのファンに支持されているようで、日本との温度差はかなりあるのではないかと思います。自分はセカンドアルバムの『Blue』やサードアルバム『Out of the Vein』も完成度が高いアルバムだとは思っていて、「Semi-Charmed Life」ほどの爆発力は無いものの良作を作り続けてきたThird Eye Blindが再び脚光を浴びる事は非常に嬉しくもあります。
さて、肝心の最新作『Ursa Major』の内容ですが、基本的な路線であるパワーポップに軽いラップ風で軽やかなボーカルが乗ってくるスタイル自体は変わっていないのですが、シンプルなロックサウンドから一歩踏み出した細かな音の要素によって大分変化しているように感じます。様々な音の要素を加える事で音自体の厚みや重さは出ていますが、サウンドのクリアさとメロディのポップさでバランスが取れているのはStephan Jenkinsのプロデュース能力も高いレベルで結実しているからで、元々Third Eye BlindサウンドStephan Jenkinsがプロデュースしてきたものですし、キャリアを重ねる事でプロデュース能力も当たり前の様に進化していると思います。アップテンポでThird Eye Blindらしい「Don't Believe a Word」の様な曲もあれば、ピアノを中心に置いたバラード調の「One in Ten」の様な楽曲もあり、アルバムの終盤では染みる系のミドルテンポ・バラード調の楽曲を畳み掛けてインストでアルバムの幕を閉めるといった感じで、そのバラエティに富んだ内容と構成力はThird Eye Blindのアルバムの中で抜きん出ている作品である事は間違いなく(終盤の流れには賛否両論あるかもしれませんが)、この辺のバランスの良さが多くの人に受け入れられているのではないかと思います。
何とThird Eye Blindは年内に次のアルバムである『Ursa Minor』(タイトルから分かる通り「おおぐま・こぐま」なので今作と対を成すようなアルバムになる事が予想される)の発売を予定している様でビックリ。今までの沈黙は一体何だったのかと思いますが、これは嬉しい誤算なので『Ursa Minor』の発売も楽しみにしたいと思います。

URSA MAJOR

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