Cornershopが『Judy Sucks a Lemon for Breakfast』でしめした独立独歩

Cornershopの何と7年振りの新作『Judy Sucks a Lemon for Breakfast』が素晴らしかったのでご紹介。

Cornershopは97年発売のシングル「Brimful of Asha」Norman Cook Remixは全英1位を獲得し、当時クラブで良くかかってたなー)やアルバム『When I Was Born for the 7th Time』のヒットがあり、記憶に残っている人も多いと思うのですが前作『Handcream for a Generation』(2002年発売)を最後にパタリと消息をくらましていました。
しかし新作『Judy Sucks a Lemon for Breakfast』はまるで本人達がのらりくらりと復活のタイミングを計っていただけで、このくらいの作品はいつでも作れたんだよと言わんばかりの内容で、まさにCornershopの音楽そのものな独立独歩のポップセンスを打ち出してくれています。Cornershopの代名詞でもあるインドミュージックを取り入れたオリエンタルな雰囲気はそのままに今作『Judy Sucks a Lemon for Breakfast』ではポップなメロディが目白押しの内容ですので、そのブランクがぶっ飛んじゃう様な作品になっているのは大歓迎。アルバムのオープニングを飾る「Who Fingered Rock 'n' Roll」はまるでRolling Stonesの様な60年代のロックンロールをイメージさせるスケール感のある楽曲なのですが、シタールが効いている事でCornershopの独特のポップテイストが加えられ、凡庸な懐古ソングになっていないのが素晴らしいと思います。『Judy Sucks a Lemon for Breakfast』にはコーラスが印象的な曲も多く収録され、サウンド的にもロックンロールだけでなくソウルやファンクなどの要素も強く感じられるカラフルなアルバムなのですが、その全てがCornershopの楽曲として存在感を放っています。
アルバム全体を通して「Brimful of Asha」へのアンサーアルバムの様な印象があるのですが、Bob Dylan「The Mighty Quinn」の新しい解釈である好カバーや、16分の長尺で実験的な要素を持ちながらポップさを失わなかった最終曲の「The Turned on Truth (The Truth Is Turned On)」など聞きどころも多く、停滞している音楽シーンに刺激を与えられる作品になっていると思います。あまりにもCornershopな音で似たようなリズムパターンの曲(インストも含む)もちょっぴり多い為、若干単調な印象を受ける事だけが気になるといえば気になりますが(いや、良い意味でいえば物凄く統一感があるサウンドなんですけれど)、もちろん、その辺を差し引いても『Judy Sucks a Lemon for Breakfast』が素晴らしいポップアルバムである事は間違いがありません。
一級品の素材でもあるこのアルバム『Judy Sucks a Lemon for Breakfast』の楽曲を料理するリミキサーが多数現れる事は想像に難くないのですが、何よりもこのアルバムが新たなリスナーの耳に届く事になれば良いのになと、心よりそう思います。

Judy Sucks a Lemon for Breakfast (Dig)

Judy Sucks a Lemon for Breakfast (Dig)

Cornershop 'The Roll Off Characteristics (Of History In The Making)