Perfumeが『⊿（トライアングル）』で迎えたピーク

Perfumeの最新作『⊿（トライアングル）』（初回限定盤）を買ったのでご報告。

内容的には完全にあっち側な感じ。中田ヤスタカが音楽的に最先端だと思っているサウンドをPerfumeを通して表現した一枚。決してアルバムの出来が悪いというわけでなく、むしろこれがPerfumeのアルバムだという思い入れがなければ好盤なのだと思います。Perfumeの最大の武器であった歌謡的なアイドル要素は極力排除されているのが自分にとっては大きくて、以前ほど興味が持てなくなったというのが正直な感想。ここまで求道的になってしまうと一足飛びで別物になっている感もあるのですが、逆に言えば中田ヤスタカが完全に割り切る事で中途半端なものを作らなかったという点は凄いと思います。彼女等の成長を見守るというスタンスで付いてきたファンは戸惑うだろうし、彼女等のキャラクターから生み出される音楽以外の輝き（彼女達のキャラクター自体が成長を遂げる事で、存在感自体ではその音楽に引けを取っていない）がある事でギリギリ保たれていくのではないでしょうか。
前作『GAME』でギリギリ保たれていたバランス感覚を今作であまり感じられないのは、表現者としてのPerfumeの三人が希薄である為で、ある意味一方的なサウンドとのギャップを埋めるのは、やはりライブしかないように思います。三人のガーリー・ロリータ・ボーイッシュという完全な棲み分けは当初からあったものではなく、成長の過程で生み出されて定着した発明で、それを含めたPerfumeの持つラブコメ的な存在感こそがPerfumeをここまでのポジションに押し上げたと思っていますので、いくらサウンドが気持ち良くてミックスやつなぎが綺麗でも、何となくしっくりこないのはそれらの部分が『⊿（トライアングル）』からは聞こえてこないからだと思います。
どちらにせよ今作『⊿（トライアングル）』がPerfumeの第一次のピークであり、これ以降が彼女等の正念場になるのではないでしょうか。
amazonでもあっという間に姿を消した初回限定盤。しかし多分これはレコード会社の意向なんでしょうね。ちょっと狙いすぎかと。

トライアングル(初回限定盤)