『War Child Presents Heroes』は取りたてて書く事がない無難なコンピレーション

こんなタイトルで書き出してしまうと残念な感じが漂ってしまいますが、今回ご紹介するコンピレーションアルバムは大物アーティストが自分の楽曲を指名した若手にカバーさせるという企画なので、当たり前の様に完成度が高い無難な出来に仕上がっております。もちろん、大抵のアーティストが自分の遺伝子を引き継いだアーティストにカバーさせるわけですから、これが原曲のイメージと懸け離れた仕上がりになるはずもないですので、カバーしている楽曲の意外性という面では面白味はありません。とは言っても「War Child」という世界で苦しむ子供達の為のチャリティ企画であるこのコンピレーションは、これまでも豪華なアーティストを起用してきており、好評を博しているコンピレーションのシリーズなわけでして、今回の『War Child Presents Heroesは個々の楽曲の完成度と参加アーティストの豪華さは群を抜いて高いわけですから、チャリティの面から言えば大成功を収めると思います。いや、もちろんそれが大名目なわけですから喜ばしい事なんですが、自分はどちらかというとコンピレーションには意外なルーツの発見や「なんじゃこりゃ〜」的な楽曲も期待していますので、少々物足りなくもあるわけです。個人的にはThe Kooksが完全に成りきっているのが微笑ましい「Victoria」と流石にYeah Yeah YeahsでもThe Ramonesがやると可愛く聞こえる「Sheena Is A Punk Rocker」が耳に残りましたが、これは原曲に対する思い入れが色濃く出てしまう企画でもあるので、相対的な評価にはなっていないのかもしれません。
とまあ、ちょっと辛口な感じで書いてしまいましたが、超有名曲のカバーばかりが収録されているので、ベストヒット的な楽しみ方も出来るでしょうし、そこから原曲のアーティストを知る事で音楽の楽しみは倍増すると思うので、ぜひ聴いてみていただきたいところではあります。

収録曲と指名された人とした人。

1. Beck (Bob Dylan - "Leopard-Skin Pill-Box Hat")
2. The Kooks (The Kinks - "Victoria")
3. The Hold Steady (Bruce Springsteen - "Atlantic City")
4. Hot Chip (Joy Division - "Transmission")
5. Lily Allen feat. Mick Jones (The Clash - "Straight To Hell")
6. Yeah Yeah Yeahs (The Ramones - "Sheena Is A Punk Rocker")
7. Franz Ferdinand (Blondie - "Call Me")
8. Duffy (Paul McCartney - "Live And Let Die")
9. Estelle (Stevie Wonder - "Superstition")
10. Rufus Wainwright (Brian Wilson -" Wonderful & Song For Children")
11. Scissor Sisters (Roxy Music - "Do The Strand")
12. Peaches (Iggy Pop - "Search And Destroy")
13. Adam Cohen (Leonard Cohen - "Take This Waltz")
14. Elbow (U2 - "Running To Stand Still")
15. The Like (Elvis Costello - "You Belong To Me")
16. TV On The Radio (David Bowie - "Heroes")


War Child Presents Heroes

War Child Presents Heroes