Emmy The Greatの『First Love』が耳を捕らえる幾つかの理由

発売を楽しみにしていたEmmy the Greatのデビューアルバム『First Love』がようやっと到着したのでご紹介。Emmy the GreatThe ChecksLightspeed Championのアルバムに参加しており、更にはNorman CookのユニットであるThe BPAThe Brighton Port Authority)のアルバム『I Think We're Gonna Need A Bigger Boatにも参加し、シングルにもなった「Seattle」でその歌声を披露していましたので、その声自体は聞いた事がある方が多いと思います。その時点でEmmy the Greatは久々に声の魅力で勝負が出来る女性アーティストだなという印象を、十分に抱かせてくれており、機運が盛り上がった上で待望のアルバム発売という事になっています。
さて肝心の内容なんですが、これが意外な程に極シンプルで真っ当なフォークトラッドの系譜に当たる作品で、Emmy the Greatのボーカリストとしての魅力を存分に楽しめる一枚になっています。様々なプロジェクトに参加しているEmmy the Greatのイメージからすると少々肩透かしな程に奇をてらっていないサウンドは、もしかすると課外活動の反動なのかもしれないし、自身を客観視する事で原石の自分にスポットを当てたようなサウンドに繋がったのかもしれません。畳み掛けるようなサウンドEmmy the Greatの声が乗って高揚感のある曲に仕上がった表題曲でもある「First Love」を始め、全体的に楽曲とメロディが丁寧に作られている為、非常に好感が持てるし、昨今のUKフォークの流行といえば流行のサウンドなのに、いつまでも耳に残るのはEmmy the Greatの持つ声の魅力とソングライティング能力の賜物に他ならないと思います。
Amy Winehouseを思いっきりキュートで上品にした様な風情(エ【イ】ミー繋がり)、香港で生まれてロンドンで育ったアジア系のハーフであるEmmy the Greatがこの様なトラッドミュージックをやっているのが興味深く(そして恐らくEmmy the Greatはロックが大好きだ)、物凄く魅力的。個人的にはEmmy The GreatKate Rusbyの様な存在になれる可能性を持った魅力的なアーティストだと思っているし、その歌声が多くの人の耳を捕らえていくのを楽しみに待ちたいと思っています。
7インチシングル「First Love」カップリングになったのは、何とAsh「Burn Baby Burn」のカバー!Emmy The GreatPixies『Where Is My Mind?』もカバーしているし、こういう曲を日本盤のボーナストラックにして発売すべき。

First Love

First Love

Emmy the Great - First Love