Roddy Woombleの『The Impossible Song & Other Songs』で紡いだ歌と絆

遅ればせながらIdlewildのRoddy Woombleのソロアルバム『The Impossible Song & Other Songs』のレビューを書きたいと思います。
前作『Before the Ruin』Kris Drever、John McCuskerと共同制作された三人の名義での作品ですので、純粋なソロアルバムとしては2006年の『My Secret is My Silence』以来という事になります。 『My Secret is My Silence』がトラッドフォークとRoddy Woombleのメロディセンスが結実した名盤だった事に比べると、そこから一歩踏み出して、そのタイトル通り、歌に焦点を合わせた様な作品に『The Impossible Song & Other Songs』は仕上がっています。『The Impossible Song & Other Songs』はシンプルなサウンドが印象的だった『My Secret is My Silence』に比べると純粋なトラッドの要素は減退しており、明るいストリングスやホーン、印象的な女性ボーカル、バンドサウンドの様なエレクトリックなギターサウンドなども取り入れる事で、特定のジャンルに偏らず幅広い非常にフラットなRoddy Woombleサウンドと歌を聞かせてくれています。
『The Impossible Song & Other Songs』は、Sorren Macleanと共同のソングライティングという形で製作されていますし、レコーディングには参加していないもののバンドメンバーであるRod Jonesとの共作(Sorren Macleanを合わせた三人のクレジット)の楽曲もあります。この辺からも『The Impossible Song & Other Songs』は気の置けないRoddy Woombleの人脈によって自然体で作られた作品だと感じますし、その事がアルバムにもポジティブでリラックスした空気を送り込んでいると思います。各楽曲では、ホーンと女性ボーカルが明るく彩りを加えた先行シングルだった「Roll Along」Idlewildでのバンドサウンドを上手く消化した「Leaving Without Gold」あたりがソロとしてのRoddy Woombleの新境地ともいえ、ポイントになる楽曲だと思います。確かに全体的なメロディの質は前作『My Secret is My Silence』よりも若干ですが落ちると思うのですが、それを補うだけの新しいサウンドや魅力を『The Impossible Song & Other Songs』は放っていると思います。
また、ジャケットのアートワークを担当しているのはスコットランドイラストレーターであるMairi Hedderwick。続き絵になっている見開きのジャケットも非常に良いジャケットだと思うし、何よりもスコットランドの強い絆が感じられて素晴らしいと思います。

Impossible Song & Other Songs

Impossible Song & Other Songs