Primal Screamの『Screamadelica』20th anniversaryのリマスターを楽しむ

Primal Scream『Screamadelica』の20th anniversaryを聞いています。
実はPrimal Screamのアルバムの中でも、世間的には最も評価が高いといえるこの『Screamadelica』。個人的には聞いた当時にはあまりピンと来なかったのを覚えています。「Movin' on Up」「Come Together」「Loaded」辺りの個々の楽曲は突出して素晴らしいと感じてはいたのですが、当時はアシッドな感覚やダンスミュージック自体にそれほど傾倒していなかった事もあって、アルバムとしての世間の高評価に自分の評価は決して追いついていませんでした。Kevin ShieldsPrimal Screamのメンバーによってリマスターされた今回の『Screamadelica』を聞いてみて改めて感じるのは、2010年代に聞いてもサウンドが全く古びていないという事で、当時としてはやはりエポックメイキング的なアルバムだったという事実がハッキリと浮かび上がります。当時は『Screamadelica』の中ではBobby Gillespieのボーカルもあまり聞かせどころがないかなと思っていたのですが、リマスター盤で聞くとアルバムの中の必要不可欠なパーツ、そしてアクセントとしてカッチリと組み込まれている様に感じてくるから不思議です。Bobby Gillespieの退廃的で甘いボーカルは独特のものですが、どんなサウンドにもそれなりにシックリくるという不思議なもので、『Screamadelica』に関してもボーカルとメロディは重たくなり過ぎない適度なポップさを演出しており、この辺が『Screamadelica』がポピュラーミュージックとして多くの人に受け入れられた要因になっていると思います。
また、20th anniversaryとしてのリマスター効果も存分に感じられる仕上がりで、音圧が上がりサウンドの輪郭がハッキリとし立体感が出る事で、当時は感じられなかった様々なサウンドの粒子が感じられ、より広がりのあるサウンドを生み出している印象を受けます。長尺の曲も多く、アルバム一枚を通して聞くと重たい印象が残った『Screamadelica』ですが、音がスッキリ整理される事で、その部分は改善されている様にも思います。という事で、今から『Screamadelica』を聞くという人にはこのリマスター盤は安心してお勧めできると思いますし、20年というアニバーサリー企画としてもこのクオリティであれば大成功だと思います。
ちなみに今回の『Screamadelica』の企画で豪華なBOXセットなどの様々なバージョンが発売されていますが、最も廉価な2枚組のバージョンには「Dixie-Narco EP」が収録。アルバムタイトルトラックである「Screamadelica」The Beach BoysDennis Wilsonの作品ながらオリジナルアルバムに収録されていないというマニアックな「Carry Me Home」やアーシーなバラード「Stone My Soul」が収録されており、聞きどころも多いです。

Screamadelica: 20th Anniversarry Edition

Screamadelica: 20th Anniversarry Edition

live映像に関しては輸入盤のBlu-rayが格安ですね。