Mikaのセカンドアルバム『The Boy Who Knew Too Much』が苦戦しているようなので褒めてみる

世界中で大ヒットした『Life in Cartoon Motion』の後だけに、期待されたMikaのセカンドアルバム『The Boy Who Knew Too Much』ですが、セールス的にはちょっと苦戦しているようです(といっても『Life in Cartoon Motion』が売れ過ぎただけで、それに比べてというレベルのお話なのですが)。Mikaといえばその中性的なキャラクターとコテコテにポップな楽曲で、次世代のポップスターとしての期待を一身に背負っていると思いますし、『Life in Cartoon Motion』もその期待に応えるかの様に派手なアルバムになっているかと思ったのですが実際は違いました。
それは先行シングルである『We Are Golden』がいかにもMika的な派手さと楽しさがある楽曲で(最初聞いたときはサビが、シャツザハーby椿鬼奴from「You Give Love a Bad Name」に聞こえてしかたなかったけど)、第二のGrace Kelly的でやっぱりQueenを髣髴させる楽曲だった為で、『Life in Cartoon Motion』と同じ様な路線をいくのかと思っていました。だけど『The Boy Who Knew Too Much』を聞いてみると派手な印象よりも、ミドルテンポでゆっくり聞かせる「Dr John」「Blue Eyes」、「Good Gone Girl」の様な楽曲の方がアルバムの中心になっており、その一方ではエレクトロなアクセントが前作以上に足された楽曲もあって、新境地に取り組みながらもじっくりと楽曲に向き合うかのようなアルバムに仕上がっている印象を受けました。自分はGrace Kellyよりも断然「Lollipop」の方が好きで、もっといえばまるでMichael Jacksonを思い起こさせる「My Interpretation」「Happy Ending」の様な楽曲こそがMikaの魅力だと思っていたので、この路線自体は歓迎出来るのですが、残念な事にそれらの楽曲よりは若干メロディが落ちる為、楽曲の単体のパワーは前作『Life in Cartoon Motion』よりちょっとだけ弱い印象を受けてしまうのは確かです。
とはいっても『The Boy Who Knew Too Much』「We Are Golden」から「Blame It On The Girls」、「Rain」、「Dr John」の流れは最高だし、一つの作品として『Life in Cartoon Motion』よりも成熟した感もあり、Mikaのボーカリストとしての魅力をより一層引き出している良質なポップアルバムではあるので、今後の活動を末長く暖かく見守りたいと思います。
『The Boy Who Knew Too Much』は様々な形態でリリースされていますが、自分が買ったのはライブ盤との二枚組のこれ。本編にボーナストラックも付いているし、お得だと思います。Mikaはライブがクソ楽しそうなアーティストなのでライブ盤を聞くとその思いも募りますね。

Boy Who Knew Too Much (Bonus CD) (Dlx)

Boy Who Knew Too Much (Bonus CD) (Dlx)