吉澤嘉代子のインストアライブと『変身少女』


吉澤嘉代子のインストアライブに行ってきました。巷でも結構話題になっていると思うのですが個人的にもずっと気になっていて、調べてみると福岡のタワーレコードでインストアライブが開催されるということで見てきました。結果的に福岡という土地柄、超間近で見ることが出来ましたし、音源以上のぶれない世界の構築を楽しむことが出来ました。
aiko華原朋美と小保方さんが三叉路で衝突したようなルックスに、オールディーズスタイルの赤のワンピースの出で立ちも実に絶妙のラインで違和感なくはまっていましたし、動画より生で見た方が数倍キュート。白のギターを赤のピックで奏でて、時には踊ってステージからはみ出すぐらいに自由奔放な姿に目を細めてきました。彼女の才能はよく懐かしさで評価されがちで、確かにナイアガラサウンド(この人の場合はウォールオブサウンドというよりこっちで表現したくなる)に歌謡曲、ニューミュージック、シティポップの匂いがプンプンするのですが、それは単なる懐古主義ではなく、あくまでも方法論としての一つのスタイルなのだと思います。つまり既にできあがっている感のある吉澤嘉代子ですが、スタイルとしての完成度が高いということで、その懐はもっともっと深いのではないかと思います。
どこか歌のお姉さんぽくもありながら、演歌歌手がポップスにトライしたような小節回しの巧みさもあって、歌い手としての魅力も存分だと思うし、創作能力に関しても文句なしなわけだから、2010年代の日本でこの才能が受け入れられるかどうかにはかなり興味があります。現在のこのスタイルだけとっても、十分に席は空いているわけで、あとはどういう形とタイミングで吉澤嘉代子という人間が世に出て行くのか。何よりほとんど行ったことのない自分がインストアライブに行ったアーティストですので、評価されてくれないと困るというもの。

変身少女

変身少女


蛇足になりますが、「未成年の主張」の歌詞にある「夢で会えたってしょうがないでしょう」の一節は大滝詠一へのアンサーだと思っています。