The Viewの『Which Bitch?』のDVD付きの限定盤は甘いチョコよりも甘い一品

The Viewの新作『Which Bitch?』のDVD付きの限定盤が手元に届いたのでご紹介。封を開けて驚いたのはその匂い。ジャケットに香り付けしてあるのか、甘い葡萄のお菓子の様な匂いがした。まあ、そんな事はさて置き、肝心の内容に関して。前作『Hats Off to the Buskers』と比べ、フォーク色、スコティッシュ色が強くなり、中にはラップ調の歌詞があったりと、ストリングスや管楽器の使用により楽曲の幅が一気に広がったのと同時に、楽曲自体も若干饒舌になり長くなりました。前作『Hats Off to the Buskers』の中では「Same Jeans」が飛びぬけて好きな筆者としては、飛びぬけた名曲が無い『Which Bitch?』は物足りなくもあるものの、The Libertinesフォロワーのイメージが残った前作から考えると、その地点からは一気に抜け出した躍進の一枚になっています。もちろん、アルバムの完成度としては今作『Which Bitch?』の方が上回っているわけで、セールス的には前作ほど振るってはいない(前作はUKチャート1位だったものの今作は4位どまり)ものの、The Viewのキャリアにおいてポイントとなる重要作になっているのは確かです。
全体的に甘さが耳に残るのはKyle Falconerのボーカルによる部分もあるけど、彼等の元々の資質に表情が豊かになって甘さが増したサウンドが追いついてきた事が大きな要因で、今作ではThe Viewの絶妙なゆるさとサウンド面の新境地が上手く結びついていると思います。個人的には前作の流れを継承しながらも最後にホーンが乱入してくる「Jimmy's Crazy Conspiracy」やメロディのリフレインが印象に残る「Realisation」、ボーカルの掛け合いとストリングスがキュートな「Gem of a Bird」辺りがベストトラック。

あと、これは作品の内容に関係ないのですが、最近良く見かけるDVD付きの限定盤が遅れて発売される意図が良く分かりません(最近でいえばBruce Springsteenの新作『Working On A Dream』もDVD付きの発売日はずらされていた)。先日、某販売店の方が「DVDの制作が間に合わない訳ではないだろうし、遅れて出す事によって両方のフォーマットを買わせようとするメーカーの意図であるなら悲しい」という話をされてて、まあ自分の様に根気良く発売を待てるのなら良いのですが、確かに熱心なファンなら両方買う可能性はあります(ただし、一枚目は売ってしまうとか、輸入盤+DVD付きの購入になる可能性が高いと思いますが)。こんなご時勢ですからメーカーも様々な販売方法を模索しているでしょうし、上得意様に多くのお金を落としてもらう方法は間違ってはいないと思うのですが、行き過ぎて歯止めが留まらなくなると、逆にユーザーの気持ちが離れてしまい、結果的に自らの首を絞めかねません。今回のThe ViewのDVDはドキュメンタリー+ライブ映像+PVで143分収録という素晴らしいDVDが付属している訳ですから、色々な販促の可能性も生まれますし、元来なら超目玉になるべき特典なのですがイマイチ結果に結びついていない様なのが残念。

フィッチ・ビッチ?~超スペシャル・エディション(DVD付)

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NME Video: The View - Shock horror